導入事例

「画期的なシステム」がMND/ALS患者に自分の声を取り戻す力を提供

車椅子に座って微笑む男性の前で、タブレット端末を手にする看護師。

運動ニューロン疾患(MND)とともに生きる人々にケアとサポートを提供するうえで、テクノロジーツールは新たな希望と機能性をもたらしています。

その一例が、進行性で最終的には死に至る病であり、筋肉の機能や発話能力に深刻な影響を及ぼすMND患者の個人的なコミュニケーションに、Ivanti Neurons for MDMが好影響をもたらしていることです。

具体的には、Neurons for MDMは、英国のMotor Neurone Disease Associationの献身的なチームを支援し、MND患者が自身のニーズを伝え、生活の自律性を維持できるようにしています。

MNDの過酷な影響に立ち向かう

MNDは、筋萎縮性側索硬化症(ALS)またはルー・ゲーリッグ病としても知られ、筋肉が徐々に弱まり萎縮していく疾患です。

Motor Neurone Disease AssociationのSLTプロジェクトマネージャーであり、資格を持つ言語聴覚士でもあるリチャード・ケイブ氏は、次のように説明します。「MNDは非常に過酷な病気です。進行性で、最終的には死に至ります。治療法はありません。MNDは進行性の筋力低下を引き起こし、手足、胴体、首など、ほぼ全身の機能が失われていきます。また、平均余命は一般的に2~3年です」

MNDは手足、胴体、首の可動性を失わせ、患者の身体能力に深刻な影響を及ぼします。その中には、コミュニケーション能力も含まれるとリチャード氏は話します。「MNDとともに生きる人の80%以上は、話すことで日々のニーズを伝えられなくなります。そして時間の経過とともに、ほぼ全員がまったく話せなくなります」

「私たちは、人々ができる限り長く自分らしく生活できるよう支援する方法を見つけなければなりません。」

これは、この疾患の中でも最も過酷で深刻な側面の一つといえるでしょう。認知能力は保たれたまま、社会的交流、身の回りのケア、就労に影響が及ぶためです。多くの場合、思考は明晰なままでありながら、考えや望み、必要としていることを表現できない身体の中に閉じ込められてしまいます。

「言語聴覚士として、私はMNDとともに生きる方々と毎日向き合っています」とリチャード氏は言います。「そして、できる限り長くその人らしく生活していただけるよう、支援する方法を見つけなければなりません」

一刻を争う中で人々を支援する

「私たちが抱える大きな課題の一つは、発話能力を失った、または失いつつある方々がコミュニケーションデバイスを利用できるようにすることです」とリチャード氏は話します。

リチャード氏は、進行したMND患者を支援する英国国民保健サービスの取り組みを評価する一方で、「発話能力を失った、または聞き取りにくくなっているものの、まだ手を動かすことができる人々は、少し空白地帯に置かれています」と述べます。こうした人々はコミュニケーションデバイスの資金援助の対象にならない場合があり、申請にも通常、数週間から数カ月待たなければなりません。

「問題は」と同氏は指摘します。「私たちにはそれほど多くの時間がないということです。MNDの進行速度に合わせ、さらにそれ以上に速く対応しなければなりません。そこで、私たちがますます力を入れているのが、コミュニケーション機器の提供です。文字どおり、他の人に代弁してもらわなくても自分のニーズを伝えられる『声』を、こうした方々に届けているのです」

これを実現するためのソリューションを探す中で、リチャード氏とMND AssociationのチームはIvanti Neurons for MDMの利用を決めました。「さまざまなものを検討しました」と同氏は言います。「たまたま協会内のあるチームが、まったく別の用途でMDMを使っていました。そこで試してみて、離れた場所からアプリを配信し、機器を提供する方法を検討しました。MND患者とそのご家族にとって、できる限りストレスの少ない形にするためです。Neurons for MDMは、まさにそれを実現するのに役立っています」

実際には、本人のiPadやiPhoneにコミュニケーションアプリを配信したり、利用可能なMND AssociationのiPadにアプリをインストールしたりしたうえで、MND Associationがそれらすべてをリモートで管理できるようになりました。

「MNDとともに生きる方々の中には、テクノロジーに詳しくない人が多くいます」と同氏は言います。「こうした仕組みを『理解』できないのです。実際、私たちは理解してもらうことを求めているわけではありません。私たちが望んでいるのは、彼らがコミュニケーションできること、負担をすべて取り除くこと、そして非常に柔軟に対応できることです。つまり、今では本当に何百人もの方々を支援できる力を持てるようになりました。現在、Neurons for MDMプラットフォームを通じて約450人を支援していると思います」

「今では、非常に多くの方々を実際に支援できる力を手にしています。」

自分自身の声の力を取り戻す

対面でのサポートを必要としないデバイスを提供することで(必要に応じて電話サポートは利用可能)、リチャード氏は「私たちは文字どおり、その方自身の声の力を届け、生活の一部を取り戻せるようにしています」と話します。

この導入で特に心強い機能の一つは、本人の自然な声を録音・保存し、個別化された合成音声として利用できる「ボイスバンキング」アプリをサポートしている点です。リチャード・ケイブ氏は、これは単なる技術的成果にとどまらず、非常に個人的な意味を持つものだと指摘します。MND患者は、病気が進行しても自己のアイデンティティを保ちながら、その人らしさを反映した声を使ってデバイスでコミュニケーションできるからです。

その一例が、有名なラグビー選手であるロブ・バロウCBEです。リチャード氏は、彼について「強いヨークシャーなまりがあり、自分のルーツを誇りに思っていました」と話します。「彼のなまりは彼自身の一部です。スコットランド人の友人が、スコットランド出身のように聞こえるボイスバンクが欲しいかと尋ねたことがありました。彼はその提案をあまり好意的には受け止めませんでした」

自然な声を、アクセントも含めてバンキングすることで、ロブ・バロウ氏は「子どもたちにとってお父さんらしく聞こえる声で会話しています」とリチャード氏は言います。「これは、テクノロジーが本当に大切なものを守れることを示す素晴らしい例です。Neurons for MDMがあれば、機器、ツール、アプリを人々に届けることができ、自然な声を失う前に、そのための作業を迅速かつ簡単に実行してもらえます」

予算とリソースの最適化を支援

一方で、MND Associationはすべて寄付によって運営されているため、支出は一つひとつ慎重に検討しなければなりません。リチャード氏は「私たちは使用する資金に対して非常に慎重でなければなりません」と話します。「Neurons for MDMは、私たちの活動を非常に効率的にするのに役立っています。そのため、手元にあるリソースで、より迅速に支援できるのです」

Neurons for MDMを使用する以前は、必要なツールを入手するための助成金を提供していました。しかしリチャード氏は、「それが役立つのは一定期間に限られ、その後は本人にも他の誰にも役立たなくなる可能性が高かった」と説明します。

Neurons for MDMにより、MND Associationはデバイスとアプリを再利用できるようになり、人々はそれらをより迅速に受け取れるようになりました。「私たちは、そうですね、300台を超えるiPadを所有していることを誇りに思っています」と同氏は言います。「また、数百種類のソフトウェアアプリをサポートしています。つまり、それらをすべて再利用できるということです。こうしたアプリの多くは10回以上使用されています。そのため、助成金を出すのではなく、この方法を取っています。そしてIvanti、つまりNeurons for MDMだからこそ、安全でデータ保護に配慮した方法で実施できるのです」

NPOと支援を受ける人々にもたらす大きなメリット

リチャード氏は、このソリューションのセットアップにおける自身の「スキル不足」を認めつつも、「要するに、私たちにはこの素晴らしいシステムがあるということです。今では1人が自分で管理し、この非常に大きなコミュニティを支えています」と述べます。

リチャード氏の見解では、Neurons for MDMは非営利組織に「大きな」メリットをもたらします。「資金を最適化するだけでなく、サービスも最適化します」と同氏は言います。「テクノロジーを通じて、私たちが提供できる最善の支援を人々に届けるのに役立っています」

Ivantiチームに伝えたいことは何でしょうか。「エンジニアの皆さんに、彼らの仕事は単なる技術をはるかに超えたものだと伝えたいです」とリチャード氏は述べます。「MND患者が、子どもたちに愛していると伝えるといった、大切なことを実現する支援なのです。

「MNDについて詳しく知りたい方、またMND Associationへの支援方法を知りたい方は、当協会のウェブサイト「MND Association | 運動ニューロン疾患と闘う」をご覧ください」

注:お客様の成果は、Ivantiがその一部を構成する環境全体および経験に固有のものです。個々の成果は、お客様固有の環境によって異なる場合があります。