IT資産管理におけるPC管理の必要性とは?
今日において、ビジネスとITは切っても切れない関係です。オフィスにはPCなどのメインハードやプリンタなどの周辺機器、そして各種システムなどのソフトウェアにケーブル類を含むインフラなど、多くのIT資産があふれています。
そこで、重要となるのがIT資産管理です。
ITがビジネスの基幹に近くなればその分だけ、管理の必要性は高まります。
そのようなIT資産管理において、最初に考えなければならないのがPC管理です。
そこで今回はPC管理が重要である理由や管理のポイントについて解説します。
IT資産とは?
そもそも、IT資産とはどのようなものを指すのでしょうか。
IT資産とは、企業のネットワーク通信を支えるLAN回線やWi-Fiルータ、ほとんどの業務に不可欠な複合機やIP電話、業務の根幹を支えるPCやスマートフォン、情報をやり取りするための外部記憶媒体といったハードウェアから、各種業務支援ソフトとそれに付随するライセンスなどのソフトウェアまで、企業のITにまつわるあらゆる資産のことを指します。
昨今では技術の進歩により顧客情報や製品・サービスの重要事項といった機密情報のIT化が進んだため、これらがIT資産とみなされることもあるようです。
これらのIT資産のなかでも、特にPCはほぼすべての企業で従業員全員に貸与されているといえます。そのため、「IT資産」という言葉を用いる際には、企業ごとの保有数の多さとそれに紐づくツールの多様さから、主にPCの管理についての話題が持ち上がることが多々あります。
IT資産管理の必要性や詳しい効果について知りたい方はこちらをご覧ください。
IT資産管理の中でもPC管理が重要な理由とは?
PC管理が重要な理由は、社内にたとえ数台であっても管理されていないPCがあると、情報漏洩をはじめとする重大なトラブルのリスクが高まるためです。
IT技術の黎明期には、各部署で1台のコンピュータを共有して限られた範囲での業務活用を行うに留まっていましたが、技術の発展とともに各従業員が利用するようになり、事務処理から業務遂行まで、あらゆる仕事が個々のPC端末へと集約されることとなりました。
そして、個々のPCへ多くの機能が集約されたことによって破損や紛失などの物理的な損害や、コンピュータウイルスなどに起因する情報流出・データ破損といった技術的な損害などが大きなリスクとして課題となっていきました。
以上のことから、各企業においてPC管理がIT資産のなかでも特に重要視されるようになりました。
もちろん、基本的にはすべてのIT資産をしっかりと管理する必要があります。ただし、管理が行き届かない状態になった場合に、もっともリスクが高いのがPCなのです。ここでは、IT資産のなかでも特にPCが重要に管理されるべき理由について、複数の要素を詳しく整理します。
・従業員1人に1台以上の時代だからこそ管理が重要
現代ほどビジネスシーンにITが浸透する以前は、オフィス内のPCの台数も限られていました。しかし今日では、従業員1人にPC1台という形が当たり前になりつつあります。場合によっては1人で複数台のPCを管理・使用するというケースもあるでしょう。
そうなれば、当然オフィス内のPCの台数は徐々に増えていきます。外出用のタブレットPCやモバイルノートPCなどもカウントすると、従業員数よりPCの台数の方が多いことも珍しくありません。
ただでさえ数が多い上に、PCは進化のスピードが速いこともあり、必要に応じて入れ替え導入を繰り返す必要があります。適切に管理できていれば入れ替え導入のたびに不要なPCが増えることはありません。しかし実際には管理が間に合わず、台帳上に使われなくなったPCが残され続け、所在不明になり、台数が合わなくなってしまうことも多いようです。
台帳上だけの問題であればまだよいのですが、使われないPCを適切に処理できていないことで、ソフトウェアライセンスの契約台数だけが増えてしまい、無駄なコストが増え続けている可能性もあります。
さらに、PCの使用・不使用にかかわらず、OSなどのバージョンやスペックが異なるPC端末を複数抱えていることは、セキュリティパッチの管理といった観点からも大きな問題となります。
たとえば、Windows 7の自動延長サポートが2020年1月14日に終了するとMicrosoft社から告知されています。期日を超えると、現在利用中のシステムに関する改修や更新プログラムの配布といったサポートはすべて終了するため、旧OSがインストールされたPCは速やかにアップデート対応を行う必要があります。
このような例にもみられるように、OSやソフトウェアの状況調査や、セキュリティ上の脆弱性を防ぐため最新の状態への更新といった作業を随時行う必要があります。管理状態が不十分であると検証や更新に多くの工数を要することとなり、従業員のリソースが奪われることで組織にとっての機会損失を招くおそれもあります。
Windows 10への以降に関してさらに詳しく知りたい方は下記よりご覧ください。
Windows10への全面移行間近!Windows10管理の時間と手間を大幅節約する方法
Windows 10への移行手順について知りたい方は下記よりご覧ください。
Windows 10にアップグレードしたい!放置するリスクと解決策
・セキュリティ上の重大なトラブルの原因に
上記でも、管理されていないPCが所在不明になるケースがあることについては触れました。
このように、社内の管理下から外れてしまったPCが重大なトラブルを引き起こす可能性があります。具体的には、セキュリティの更新をせずにネットワークに接続したことにより、ウィルスの侵入を許す可能性などです。その結果、不具合が起こるのみでなくデータ漏洩のリスクも高まるのです。
過去には、セキュリティの更新を怠っていたことに起因する大規模な事件も実際に発生しています。
2017年には、「身代金要求型ウイルス」とも呼ばれるマルウェア、「ランサムウェア」の一種により、大手電機メーカーや大手スーパーマーケット、全国展開中のファストフード店などさまざま企業が機密情報の流出やシステム停止といった障害を発生させてしまったケースがあります。
このランサムウェアの実行を許してしまった原因のひとつとして、Microsoftから提供されていたパッチの適用が不十分な端末が存在していたことが挙げられています。
セキュリティ管理体制の不備がこのような事件を招いてしまったことからも、PC管理がIT資産管理において非常に重要であることが認識できます。
また、所在不明のPCそのものが外部に漏れてしまう可能性もあります。そうなれば、当然PC内のデータが外部に流出してしまうことになるでしょう。
2017年には、防衛省の本省内で複数のノートパソコンが盗難されるという事件が発生しています。このPCは当時使用されておらず、機密情報は含まれていなかったと発表されているものの、PCをはじめとしたIT資産が長期にわたって放置されているなど、ずさんな管理体制の常態化が問題となりました。
このような実際の事件から見ても、PC管理体制の徹底を怠った場合、大きなリスクを負うことにつながるといえます。
コストをかけて強固なセキュリティシステムを構築・運用していても、管理されていないPCがたった1台でもあれば、そこがセキュリティホールになってしまうのです。
データ漏洩に関して、予防策などを知りたい方は下記よりご覧ください。
日本企業のセキュリティ脅威1位に「標的型攻撃による情報漏洩」
アプリケーションにおけるセキュリティ管理について詳しく知りたい方は下記よりご覧ください。
・不正コピーされたソフトウェアが使用されている可能性も
PC管理が十分にできていない場合、不正にコピーされたソフトウェアがインストールされたPCを社内で保有する状態を招く危険性も想定されます。
2018年3月には、とある製造事業者と正規ソフトウェアの使用を促進する団体の間で法的手続きに伴う調停が成立しています。この製造事業者は社内で不正にコピーされたOfficeソフトを利用しており、調査結果により当初報告されていた数より多くの本数を保有していることが発覚しました。
本数にかかわらず、不正にコピーされたソフトウェアが利用されていることは、法的にも決して許されることはありません。PC管理に不備がある場合、なかには不正なソフトウェアをインストールした端末が存在する可能性もゼロではないといえます。
PCソフトウェアはすべて著作権法を根拠法として、その知的財産権が保証されています。もし法人による著作権法違反が発覚した場合、その処分内容は個人のものよりはるかに重く、3億円以下の罰金が科されることになっています。
このような企業の存続体制を揺るがすリスクをゼロにするためにも、やはりPC管理は必須事項ともいえるほどに重要であると考えられます。
参考ニュース:PR TIMES
ライセンス違反によって生じるリスクや予防策について知りたい方は下記よりご覧ください。
IT資産は正しく管理しよう!ライセンス違反のリスクとその防止策
PC管理のポイントとは?手間もリスクも最小に
上記の通り、PC管理が不十分であることは余剰資産を生み、無駄なコスト消費へつながるばかりでなくセキュリティ面やコンプライアンス面でのリスクを高めることになります。
とは言え、今日では小規模なオフィスであってもPCの台数は多く、さらに入れ替え導入の機会も多いことから状況を正確に把握・管理するために膨大な労力がかかります。また、それで十分な管理ができればいいのですが、工数や労力を重ねているにも関わらず、IT資産管理やPC管理ができずに頭を抱えている担当者の方も多いでしょう。
そこで、ここでは手間もリスクも最小に抑えるためのPC管理のポイントをご紹介します。
・現状の把握を徹底!使われていないPCは適切に処理
PC管理の最初のステップは現状を正確に把握することです。各部門・部署別に情報収集を行い、PCの台数はもちろんのこと、用途、そして使用者を明確にします。
こうして現状を把握する中で、ほとんど使われていないPCや、使用者が明確でないもの、あるいは、他のPCに統合することができるものが見えていきます。検討の結果、不要であれば適切に処理していきます。
こうすることで社内の余剰資産をあぶり出し、コストを削減できるばかりでなくセキュリティ上のリスクも軽減可能です。
・IT資産の情報集中・一元管理を徹底
前述した通り、単にIT資産と言ってもPCやサーバーなどのハード、各種ソフトウェア、周辺機器、インフラなどさまざまなものがあります。そのため、管理がバラバラになっているケースも多いようです。
ただし、IT資産の多くはPCと連動していることもあり、同時に入れ替え導入されることが多い傾向にあります。そのため、IT資産の情報は集中させ、一元管理する必要があるのです。管理番号、導入した年月日、設置・使用されている場所、主なユーザー(端末の管理者)などの情報を集め、整理しましょう。
最近では、ネットワークに接続されている機器を自動的に収集・管理してくれるツールなども登場しています。こういったツールを使用すれば、PC管理にかかる工数や労力を大幅に減らせるだけでなく、継続した管理が可能となるでしょう。
もちろん、ネットワークに接続できない周辺機器・インフラの情報は自動収集が困難です。ですが一度データ化することで、効率的な確認・管理が行えるため、常にIT資産の状況を正確に把握し、管理を行うことが可能になります。
セキュリティの確認も忘れずに実施
セキュリティの確認もIT資産管理において重要なポイントのひとつです。すべてのPCでウィルス対策ソフトがインストールされ適切に動作しているのか、OSのアップデートは実行されているのか、また各種ソフトウェアのライセンスは有効なものなのか、などを常時監視できるシステム作りが必要となります。
この点に関しても専用ツールで一括管理することが可能です。
PCのセキュリティやソフトウェアのライセンスなどについては、各部署や使用者に一任しているという企業や組織も少なくないようです。ただし、多くのPCがネットワークに接続されている今日において、このような管理では十分とは言えません。人的なミスによるトラブルを防止する意味でも、監視・管理ツールの導入をおすすめします。
もちろんツール導入・運用にはコストがかかりますが、その分だけIT資産管理、PC管理の工数や労力も削減できますので、コスト分以上の価値はあると言えます。
IT資産についてや、棚卸の効率化について知りたい方は下記よりご覧ください。
IT資産管理のソフト選定にお悩みの方は下記よりご覧ください。
まとめ
ビジネスとITが切っても切れない関係となった今日において、IT資産管理の必要性はますます高まっています。ただし、IT資産管理と言っても、まずは何をすればいいのかわからないという方も多いでしょう。いくつもの大切なポイントがありますが、最初にしっかりと押さえなければならないのはPC管理です。
現在ではオフィス内に多くのPCがあるからこそ、適切な管理が求められるようになりました。逆に、適切に管理することができれば、余剰なIT資産を減らし、コストを削減できるだけでなく、セキュリティ上のリスクを軽減することもできます。
今回ご紹介したポイントを押さえ、PC管理ツールなどの導入を含め、早急に検討しましょう。
なお、Ivanti Software株式会社ではPCを含めたIT資産の一元管理を実現する、IT資産管理サービスを提供しています。
Ivanti Software株式会社のIT資産管理ソフトでは、今回の記事で述べた管理工数の削減や情報の集中による一元管理、ライセンスの最適化や自動管理などの機能を一貫して利用することが可能です。
またそれだけでなく、ユーザーのIT資産を追跡し資産活用の最大化を可能にすることや、IT資産への投資状況を可視化し、不要な出費の軽減や過剰な投資の軽減を実現します。
さらに、管理対象となるIT資産の区分を問わず一元管理することが可能なため、ソフトウェアやハードウェア、クラウド資産や顧客情報資産、サーバーやシステムなど、あらゆる資産を包括的に運用することを可能にします。
IT資産を一元管理したいという企業や、PC管理などの体制が不十分でリスクを抱えている企業の方々は、是非導入をご検討ください。
Ivanti Software株式会社のソフトの基本機能に関してさらに詳しく知りたい方は、下記よりご覧ください。