IT資産は正しく管理しよう!ライセンス違反のリスクとその防止策
今日ではパソコンやタブレット、PDAをはじめとしたサーバーや各種周辺機器などは、さまざまなIT機器が使用されるようになりました。そこで、その管理の重要性はますます高まっています。数が増えただけでなく、入れ替え導入などの頻度も高いことから、さらに管理が難しく、企業や組織を健全に運営する上でネックになっているというケースも少なくありません。
「資産管理」といわれると、ハードの管理を思い浮かべる方がほとんどでしょう。そこで見落とされてしまうことが多いのが、物理的に目に見えない部分の管理です。例えば、PCやシステムの運用に欠かせないソフトの管理が該当します。
十分な管理ができていないことで、無意識にライセンス違反を犯してしまうというケースも少なくありません。
このような違反は企業や組織にとって非常に大きなリスクがあります。そこで今回は、ライセンス違反のリスクと資産管理による防止策についてご紹介します。
ライセンス違反によるリスクとは?最悪の場合刑事罰の可能性も!
企業や組織を運営する上で、コンプライアンスの重要性は高まり続けています。コンプライアンスとは法を守り、企業倫理や社会常識などについても考えながら企業・組織としての社会的責任を果たしていくことを指します。
メーカーのソフトにおける知的財産権を守るためのコンプライアンスもそのひとつですが、ハードのように目に見えるものではないことから、ないがしろにされてしまうことが多いのが事実です。
ただし、ライセンス違反にはとても大きなリスクがあります。その内容を具体的に確認しましょう。
・企業価値や社内従業員のモラル・責任感の低下
近年では許可されていない複製への対策がとられているものも増えていますが、依然として簡単にコピーし、使用可能なソフトも多いままです。極端にいうと、購入・契約をしなくても、そのまま使えてしまうということです。
そのため「バレなければいい」という考えのもと、契約違反であることを自覚していながら、不正コピーを使用しているというケースも決して少なくありません。
確かに、一時的にはソフト購入のコストを削減することが可能ではありますが、これは明確な違法行為です。企業としての価値低下を招くだけでなく、従業員のモラルや責任感までも低下してしまうでしょう。
実際に社内でライセンス違反があたり前に行われていることに対し、不満を感じる従業員も少なくありません。結果として、内部告発につながるケースや優秀な人材の流出が生じる場合も多いようです。
「たかがライセンス違反」と思わず、企業や組織に対して深刻なダメージを与えてしまう可能性も考えておくことが重要です。
企業価値や社内のモラル、責任感などは目には見えにくいものですが、実際に問題として表面化してしまった頃には手遅れであることも多く、早い段階で対処する必要があります。ソフトの管理もそのひとつですので、大きなリスクを抱える問題であることを認識しましょう。
・損害賠償や刑事罰の対象にもなる
ソフトやライセンスはハードのように物理的に目に見えるものではありません。そのため、管理への認識そのものが甘いケースも少なくありません。そのことからライセンス違反については軽く考えられてしまいがちなのですが、それは大きな間違いです。
そもそも、ソフトやプログラムも著作権保護の対象となります。そのため、コストをかけてソフトを購入しても、その著作権、つまり所有権が移ることはなく、あくまで権利者から使用の許諾を得るという形がとられます。ソフトを購入するというよりも、使用許諾を得るための契約を結ぶ、と考えましょう。
通常、ソフトには使用範囲が明示されています。インストールおよび使用可能な台数や、用途などが限定されているケースもあり、内容は購入形態やパッケージによっても異なるのが一般的です。この条件を超えて使用すれば、当然著作権の侵害にあたります。
そのため、定められた条件を意図的に守らなかったり、十分に確認できていなかったりすることで、違反を犯すと多額の損害賠償を求められる可能性があります。実際に、数億円規模の損害賠償が認められたケースもあり、さらには刑事罰の対象にもなるのです。
このように、ライセンスというのは単なる注意事項ではありません。権利者との明確な契約であり、購入したからといって自由に使えるというわけではないのです。
たかが不正コピーと甘く見た結果、大きな代償を払うことになるリスクが潜んでいることを頭に入れておきましょう。
・セキュリティ上の問題のリスクも
違法に複製されたソフトを使用すること自体が違法行為にあたりますが、使用を続けることによるリスクについても触れておきましょう。
通常、正規のライセンスのないソフトの場合、セキュリティにおいて重要なアップデートやサポートを受けることはできません。そのため、ウィルス感染や、重要な社内データの流出といったリスクが高まります。
データ流出などのトラブルは、企業としての信用を失う原因のひとつです。加えてそれが違法コピーソフトによるものであることが明らかになれば、企業・組織に深刻なダメージを与えることになるでしょう。
IT資産管理の徹底でライセンス違反を防止!
前述の通り、ライセンス違反によるリスクは非常に大きく、場合によっては企業や組織に取り返しの付かないほどのダメージを与える可能性もあります。だからこそ、IT資産管理においてはハードのみでなくソフトの管理も重要なのです。
しかし、前述の通り企業や自治体などでも意図的、無意識を問わず、違反が行われているのが現状です。実際に、メーカーのヒアリングや調査によって、使用実態などが明らかになり、多額の追加購入や和解金の支払いが求められるケースも少なくありません。組織の規模が大きくなれば、当然その額も膨れ上がります。
意図的な違反行為は論外ですが、管理が不十分なことで引き起こされていることも多く、これを避けるためにもIT資産管理を徹底することは重要です。
・保有するライセンスを正確に把握
ソフトを管理する上で大切なのは、現時点で保有している数を正確に把握することです。メーカーや種類、購入形態によって、インストールすることができる端末の数や使用可能な期間は異なります。そのため、まずは社内にある有効なライセンスの数を常に正確に把握し続ける必要があります。
続いて、ライセンス数に対するインストール数の確認を行います。ここで数の相違が起きた場合、違反が生じている可能性が高いと言えるでしょう。
最近では、各インストール数を自動的に集計可能なIT資産管理専門ツールなども登場していますのでうまく活用し、管理を徹底してください。
まとめ
ソフトは各種端末やサーバー、周辺機器などのハードとは異なり、物理的に目には見えません。それに加えて、簡単にコピーができるという特性を持っています。そのため、管理が適切でないと無意識に違反となっているケースも少なくありません。
このような違反には多くのリスクがありますので、管理の徹底は多くの企業にとって急務と言えます。ライセンス違反による思わぬトラブルを避けるためにも、IT資産管理を徹底しましょう。