IT部門の最も重要な機能の1つとして、ITチケット処理のベストプラクティスの重要性は明らかです。ソフトウェアベースのチケット管理システムを活用してITチケット処理プロセスを最適化することで、企業はカスタマーサービスにおける大きなビジネスメリットを、具体的には、インシデント管理とリクエスト対応を改善することで実現できます。  

ITサービスおよびサポートチームは、IT組織のチケット処理ソフトウェアと密接に連携し、サポートチケットを可能な限り短時間で解決します。通常は、サービスレベル契約(SLA)と呼ばれる合意済みの目標解決時間内に対応することを意味します。  

ITチケット処理のベストプラクティスを支えるために、ITサポート担当者はナレッジベースを構築・維持する場合もあります。その目的は、既知のIT問題に関する情報を集約し、類似チケットの解決時間短縮を支援することです。 

ITチケット処理が重要な理由 

企業は、収益を生み出すプロセスを支えるために、ITインフラストラクチャとサービスへの依存をますます高めています。ユーザーがITの問題に直面したり、ITサービスデスクからサービスを必要としたりすると、ITチケットが作成されます。  

その後、ITサポートスタッフはITチケット管理システムを活用し、解決プロセスにおける顧客体験を最適化します。同時に、チケット応答時間や解決時間など、チケット処理に関する重要な主要業績評価指標(KPI)も管理します。  

非効率なチケット処理プロセスはSLA違反につながる可能性があり、未対応のIT問題が計画外のサービス停止を引き起こし、企業の顧客に影響を及ぼすことがあります。チケットの紛失や不適切な管理、不要なエスカレーションも余分なコストにつながります。こうしたことは当然、事業の収益性やサービスデスク運用全体のROIに影響します。  

このような理由から、多くのIT組織は、ITチケット処理のベストプラクティスに基づく効率的で効果的なプロセスを支援するITサービスデスクソリューションを活用しています。  

ITチケット処理のベストプラクティス20選 

1. 承認済みの解決策がある問題について、不要なITチケットの作成を避ける 

不要なチケットは、ITサービスデスク担当者の過重労働につながります。同じIT問題が繰り返し発生する場合、IT担当者は承認済みの解決策を策定し、IT組織のナレッジベースに文書化する必要があります。  

ユーザーには、ナレッジベースの承認済み解決策やカスタマイズされたセルフサービスポータルを使用して、自身のIT問題をセルフサービスで解決するよう促すべきです。 ITSMソフトウェアは、不要なITチケットが作成される前に、ユーザーを承認済みの解決策へと導くことができます。  

2. どのチケットを先に処理するかを決定する 

ITサービスデスクでは、チケットをどのように整理し、優先順位付けするかを決定する必要があります。最適な優先順位付けの方法は企業ごとに異なり、複数の要因によって左右されます。最も一般的なモデルは次のとおりです。 

  • 先入れ先出し(先着順とも呼ばれる)では、チケットを受け付けた順番に時系列で処理します。 
  • 選択方式/VIPでは、リクエストの緊急度に基づいてチケットを処理します。  

組織は、ビジネス要件に応じて、1つのモデルを継続して使用することも、必要に応じてモデルを変更することもできます。ITチケットの優先順位付けでは、エンドユーザーに最も効果的なカスタマーサポートを提供することに重点を置く必要があります。 

3. 変更承認の不要な待ち時間を避ける 

IT組織は、変更管理者の承認が必要な場合に自動で通知するITSMソフトウェアを導入する必要があります。  

これにより、変更管理とサービスデスク間のタイムリーなコミュニケーションと連携が確保され、変更の実装が必要な問題の解決時間を短縮できます。このプロセスの迅速化は、ソフトウェアで支援されるITチケット処理のベストプラクティスがもたらす最も重要なメリットの1つです。 

4. チケットステータスを常に設定し、監視する 

サービスデスクスタッフは、重複作業を防ぎ、優先順位付けが正確に行われるようにするため、各チケットのステータスを正確に設定し、監視する責任があります。ITチケットは、次のいずれかに分類する必要があります。 

  • 新規/オープン。 
  • 対応中。 
  • 保留中。 
  • クローズ済み。 

サービスデスクのチームメンバーは、各チケットステータスを割り当てるための一貫した基準を策定する必要があります。 

5. チケット情報に基づいて緊急度を評価する 

ITサービスおよびサポート担当者は、標準的なチケット形式を導入し、徹底する必要があります。これには、ユーザーの連絡先情報、IT問題の説明、そしてビジネスプロセスへの影響評価が含まれます。  

サービスデスクチームは、この情報を使用して各ITチケットの緊急度を評価し、優先順位に基づいてチケットに対応できます。  

チケットの緊急度を評価する標準的な方法を策定することで、サービスおよびサポートスタッフの優先事項をビジネスニーズに合わせやすくなります。これもITチケット処理のベストプラクティスがもたらす大きなメリットの1つです。 

6. 担当の変更管理者が不在でも変更を進める 

特定の変更を担当する変更管理者が休暇に入った場合はどうなるでしょうか。その担当者の承認が必要な緊急変更を行う必要がある場合はどうでしょうか。IT組織は、主要担当者が一時的に不在になると停止してしまうような承認構造を作ることを避けるべきです。  

担当の変更管理者が不在になる可能性がある場合、IT組織は、選定された変更の承認責任を担える代替担当者を割り当てる必要があります。  

このようなITチケット処理のベストプラクティスのメリットの1つは、見落とされがちでありながら、最終的にサービスデスクの評価を損なう問題を取り除けることです。  

7. セルフサービスを有効にする 

ITチケットの解決コストは、到達するエスカレーションレベルに比例します。MetricNetのデータによると、エスカレーションレベル別のチケット解決の平均コストは次のとおりです。 

  • レベル1チケット:$22 
  • レベル2チケット:$69 
  • レベル3チケット:$104 
  • フィールドサポート:$221 
  • ベンダーサポート:$599 

同じ調査では、顧客セルフサービスによるITチケットの解決コストはわずか2ドルであることが分かりました。したがって、セルフサービスの有効化は、チケット管理システム全体の負担を軽減するためにIT部門が実施できる、最も重要なITチケット処理のベストプラクティスの1つです。  

8. 迷惑メールがITヘルプデスクに入り込むのを防ぐ 

迷惑メールを手動でフィルタリングすることは、ITヘルプデスクにとって大きな時間の浪費になりかねません。貴重な生産時間を奪うだけでなく、過剰なスパムメールは、タイムリーな対応が必要な実際のチケットを見落とす可能性も高めます。  

この作業をなくすために、IT管理者はサービスデスクの受信トレイにスパムフィルターを設定する必要があります。  

9. 入力が不完全なサービスリクエストに起因するコストのかかるITミスを避ける 

ITサービスデスクは、ビジネス部門からのサービスリクエストへの対応とあわせて、インシデント解決も担います。不完全または一部のみ入力されたサービスリクエストは、サービス提供の非効率化につながります。サポートスタッフがリクエストを正確に処理するために必要な情報や詳細を得られないためです。  

サービスデスクは、リクエストが最初に行われた時点で十分な情報が提供されるよう、さまざまな種類のリクエストに合わせてテンプレートをカスタマイズする必要があります。テンプレートを作成する際は、サポートスタッフが問題を迅速に解決するためにどのデータが必要かを慎重に検討してください。 

これらのデータ項目を必須にします。  また、ITチケットやその他のサービスリクエストがITサポートスタッフに転送される前に、内容の完全性を確認する担当者を割り当てることもできます。  

10. ITサービスリクエストの検証を効率化する 

サービスリクエストに対応する前に、ITサポートスタッフはそのリクエストを検証する必要があります。検証には、次のような複数の要素が含まれます。 

  • リクエストを行った人物にその権限があることを確認する。 
  • リクエストされたサービスが、そのサービスを受ける予定の相手に本当に必要であることを確認する。 

組織によっては、サービスリクエストがITサポートスタッフに届く前に、承認と検証を担う担当者を1名以上置くことが望ましい場合があります。部門長が、自部門からのサービスリクエストの検証責任を負うこともあります。ITチケットの検証を効率化することで、IT担当者は有効なリクエストへの対応に注力できます。 

11. サービスリクエスト対応プロセスで長引くメールのやり取りを避ける 

インシデント管理とリクエスト対応のプロセスを長引かせる顧客との長いメールのやり取りを避ける最善の方法は、チケットが作成された時点で必要な情報を収集することです。  

チケット管理ソフトウェアを使用して、リクエストテンプレートを設定できます。これらのテンプレートでは、ITチケットが作成される前に、各リクエストタイプに関する最も重要な質問にユーザーが回答する必要があります。リクエストテンプレートは、顧客との往復のやり取りを最小限に抑えられるよう、必要に応じて十分にカスタマイズする必要があります。 

12. 重大インシデントを技術者に迅速に通知する 

営業時間外や休暇期間中に重大インシデントが発生した場合、収益に影響するビジネス停止を防ぐため、技術者に直ちに通知する必要があります。  

IT組織は、営業時間外でも適切なチャネルを通じて技術者に重大インシデント通知を行えるサービスデスクソリューションを採用する必要があります。ITSMソフトウェアのメリットの1つは、24時間365日稼働し、重大な問題に迅速な対応が行われるよう支援できることです。 

13. 不要なチケットエスカレーションを先回りして回避する 

チケットを上位のサポートレベルへエスカレーションすると、解決にかかる総コストが増加します。そのため、必要な場合にのみエスカレーションすることが重要です。チケットがSLA違反に近づくと、エスカレーションが自動的に発生する場合があります。これは、ITサポートスタッフによる応答または解決に時間がかかりすぎていることを意味します。  

IT管理者は、SLA違反に近づいているチケットに対してアラートを設定することで、不要なチケットエスカレーションを回避できます。これにより、不要なエスカレーションに至る前に高優先度として扱われます。これは、チケットが見落とされていたり、誤って割り当てられていたりして、SLA違反に近づいている場合に特に有効です。 

14. ただし、必要な場合はチケットのエスカレーションをためらわない 

とはいえ、必要な状況ではエスカレーションを奨励し、受け入れるべきです。たとえば、IT問題が収益を生み出す重要なビジネスプロセスに影響する場合です。ITサポートスタッフは、望ましいビジネス成果を支援するため、または望ましくない結果を回避・軽減するために追加サポートが必要な場合、積極的にチケットをエスカレーションする必要があります。 

15. 階層型サポート体制を構築する 

大量のチケットを扱う大規模なIT組織では、階層型サポート体制により、最も高度なスキルを持つ技術者が最も難易度の高いインシデント修正に集中できます。下位階層の技術者には、チケットのレビュー、承認、ルーティングや基本的なリクエスト対応など、よりシンプルなタスクが割り当てられます。  

階層型サポート体制を確立することで、ITサポートスタッフの時間の使い方を最適化し、各レベルでのチケット管理時間とコストを削減できます。この効率向上も、ITチケット処理のベストプラクティスがもたらすメリットの1つです。 

16. サポートワークフローを作成する(そして徹底する) 

システムは、予測可能で一貫した結果を生み出します。サポートワークフローとは、新しいITチケットがチケット処理システムに入ってきた際に、ITサポートスタッフがどのように管理すべきかを大局的に示す仕組みです。  

サポートワークフローは、チケット解決時にITサポートスタッフが予測可能な一連の手順に従うよう導きます。また、サポートチケットがどのように処理されるかについて、顧客の期待値を管理するのにも役立ちます。  チケット管理ソフトウェアソリューションを評価する際は、新しいワークフローの作成や既存ワークフローの変更に使える、事前構築済みワークフローとワークフロー設計ツールが含まれていることを確認してください。 

17. サポートチケットをセグメント化する 

大規模なITサービスデスクチームは、SLAを継続的に達成するために、正確にセグメント化されたITサポートチケットに依存しています。サポートチケットをセグメント化することで、特定のテクノロジーやカスタマージャーニーの段階に関連するインシデントレポートやサービスリクエストを、できるだけ迅速に問題を解決できる最適な担当者へルーティングできます。  

これは、問題のあるデバイス(プリンター、サーバー、デスクトップなど)に応じてチケットのルーティングを変えることや、サービス問い合わせの種類(請求、配送、返品など)に基づいて変えることを意味します。どのようにセグメント化する場合でも、セグメント化によってサポートリクエストを効率的にトリアージできれば、初回応答時間を短縮し、顧客満足度に好影響を与えられることは明らかです。  

18. サポートスタッフに権限を与える 

ITエージェントが顧客の問題を効果的に解決するには、適切なナレッジとツールにアクセスできる必要があります。つまり、顧客が正しく入力した正確で最新の情報を含むチケットを受け取れるようにすることです。また、類似ケースを参照し、新しい情報を得た際に更新できる堅牢なナレッジベースを維持することも意味します。  

サポートスタッフに権限を与える最善の方法は、整理された状態を維持し、重複または誤った方向に向かった作業を減らすITチケット処理ソフトウェアシステムを活用することです。このコストと不満の削減も、ITチケット処理のベストプラクティスを採用することで得られる具体的なメリットの1つです。 

19. 履歴ビューを提供する 

チケットがサービスデスク内を進み、エスカレーションされる過程で、多くの異なる担当者によって処理される場合があります。サービスデスクの顧客に可能な限り優れた体験を提供するには、チケットを新たに担当する各担当者が、そのチケットの文書化された履歴全体を確認できることが重要です。  

これにより、顧客はチケット処理プロセス全体を通じて、複数のITサポート担当者に同じ問題を繰り返し説明する必要がなくなります。そして、より良い顧客体験を提供することは、間違いなくITチケット処理のベストプラクティスがもたらすメリットの1つです。 

20. データに従う 

サービスの卓越性を目指すIT組織は、「データに従う」必要があります。ITチケット処理を改善するための第一歩は、重要なサービスデスクの主要業績評価指標(KPI)を正確に測定することです。  サービスデスクでは、少なくとも次のKPIを測定することを強く検討すべきです。 

  • 平均応答時間。 
  • 平均解決時間。
  • チケット処理全体の平均時間。 
  • チケットエスカレーション率。 
  • セルフサービス利用率。
  • SLA達成率。

ITチケット処理のベストプラクティスを拡大する(そしてITの役割を広げる) 

ここで取り上げたようなITチケット処理のベストプラクティスを採用し、さらに新しいITツールをサービスに統合することで、IT部門は組織全体で関わるあらゆる業務を支援する能力を拡大し、強化できます。  つまり、時間の経過とともに、IT部門はビジネスの成功と戦略的方向性に対して、より大きな影響力を持つようになります。 

サービス管理の可能性と重要性を理解しているIT組織が、ITチケット処理のベストプラクティスを採用しているのはこのためです。優れたITチケット処理が、ITSMの重要な構成要素であり、急速に変化するビジネスニーズに応えるために不可欠であることを理解しているのです。