Ivantiのデジタルエクスペリエンス調査レポートシリーズ
AITSM:AIによるITサービスデスク自動化の再定義について
エンタープライズサービスマネジメント(ESM)におけるAIと自動化の活用は目新しいものではありませんが、組織をより効率的に、アジャイルかつ即応的にする新たなユースケースに期待が高まっています。 ここでは、ITリーダー向けに、このトピックに関する最新の調査結果をご紹介します。
AITSM:AIによるITサービスデスク自動化の再定義について
エンタープライズサービスマネジメント(ESM)におけるAIと自動化の活用は目新しいものではありませんが、組織をより効率的に、アジャイルかつ即応的にする新たなユースケースに期待が高まっています。 ここでは、ITリーダー向けに、このトピックに関する最新の調査結果をご紹介します。
Ivantiは、世界中の16,200人以上を超えるオフィススタッフ、IT専門家、組織のリーダーを対象に次のような点について調査を実施しました。
当社の調査研究と方法論の詳細については、最終セクションをご参照ください
「Everywhere Work」ムーブメントは働く人々のワークライフを向上させました。しかしその一方で思いがけないことに、価値の高いIT人材にとってはストレスの要因となっています。 サービスデスクの自動化と生成AIにより、エンタープライズ・サービスマネジメント(ESM)に秩序を取り戻すことはできるでしょうか?
現在の問題
ほとんどの組織は、少なくとも一部の従業員にリモートワークを認めるように進化してきました。 Ivantiの調査によると、2023年時点で、全世界のオフィスワーカーの53%、ITワーカーの78%が、少なくともパートタイムでリモートワークを行っています。
オフィススタッフがいつでもどこでも生産性の高い仕事をするためのツールを持つ「Everywhere Work」へのシフトは、複数のストレス要因によってIT部門の仕事量を増加させることにもつながっています。
重要な理由
ストレスと燃え尽き症候群は過去最高に達しています。 ギャラップ社の世界的な調査によると、世界中の労働者の44%が、前の勤務日よりも「その日の多くの時間」にストレスを感じたと回答しています。 そして、「Everywhere Work」革命の担い手であるITチームは、特にリスクにさらされています。
ITサービスデスクの自動化と生成AIが、ヘルプデスクのスループットを向上させてITチームの生産性を高め、「Everywhere Work」がもたらす全体的なセキュリティリスクを軽減できるとしたらどうでしょうか? こうした改善により、過重労働にあえぐITチームのストレスが軽減され、仕事の満足度が向上する可能性があります。
AI、機械学習、自動化の進歩は、「Everywhere Work」におけるIT特有の課題を少しずつ解決できる可能性があります。これには、ITプロフェッショナルの多くが同意しています。 ITプロフェッショナルの約半数が、AIは従業員の生産性を向上させ、やらなければならない平凡なルーチンワークの割合を減らすと回答しています。 (なお、ITワーカーは、所属する組織の技術サポートに関する課題のトップ3に「繰り返しの作業」を挙げています)
さらに一歩進んでみましょう。 AI支援によるESMは、ワークフロー、スループット、アジリティの再構築という革命をITチームにもたらします。 また、ITに必要なスキルと経験の組み合わせも変わっていくでしょう。
現在の問題
失業率が上昇しているにもかかわらず、多くの企業は優秀なIT人材の確保に苦慮しています。
MIT Tech Review Insightsの調査によると、技術系幹部の多く(64%)がIT業界の候補者に「必要なスキルや経験が不足している」と回答しており、56%が要件を満たす候補者の不足を懸念しています。
ITチームにとって、これは大打撃です。
AIと機械学習によって、(a)ITサービスデスクを自動化して単純な問い合わせに対応させることでチケットの量を減らし、(b)より多くの知識とリーチを持つ最前線のヘルプデスクアナリストに権限を与えることでエスカレーションを減らし、そうすることで人材市場におけるITスキルの永続的なギャップによるプレッシャーを緩和できるとしたらどうでしょうか?
重要な理由
AIと自動化が生産性の向上をもたらすことは分かっています(例:機械的な作業の排除、優先順位付けなど)。 しかし、AIとサービスデスクの自動化がITスキルのギャップ解消にも役立つとしたらどうでしょうか?
Gartner®の最新トレンド分析レポートによると、「2027年までに、CIOの25%が、拡張されたコネクテッドワークフォースの取り組みにより、重要な職務のコンピテンシー獲得までの時間を50%短縮する」*とされています。
AIは、2つの重要な進展により、現在のナレッジマネジメントを再構築するでしょう。
手作業を機械に任せることで、人々はよりやりがいのある仕事に集中できるようになります。 この技術はまた、従業員全体のスキルの平準化にもつながります。初期の研究によれば、経験の浅い人ほどAIを使うことでより大きな効果が得られるとされています。
ウィル・ダグラス・ヘブン
AI担当シニアエディター
MIT Technology Review
多くの組織のITチームがいまだに可視性の欠如に悩まされており、これはレスポンスタイムや従業員体験からデータ品質や相互運用性まで、幅広いESM品質要素に波及しています。
現在の問題
可視性の低さは、多くの組織にとって依然として解決困難な問題であり、対処を怠れば、AIの導入、高いパフォーマンスやイノベーションを著しく遅らせる可能性があります。
可視性の不足は主に2つのエリアに現れます。
1. インベントリ:組織は、ネットワーク上のすべてのデバイスとエンドポイントの完全なインベントリを持っていません。そして、この問題は、場所や時間を問わないリモートワークを可能にするデバイスの急増によって、さらに大きくなっています。これには以下のような点が挙げられます。
2. アセットマネジメント:インベントリが不完全であるため、組織はデバイスデータの集約と対応をスムーズに行うことができない
重要な理由
全社的な可視性がなければ、組織は効果的なイノベーションを起こすことも、AIの高い可能性を活用することもできません。
組織は複雑化するテクノロジーの重圧の下で苦闘しています。おそらく、現代の企業に浸透しているテクノロジーやデータのサイロほど深刻な状況はないでしょう。 このようなサイロ化は、AI/オートメーションの普及を妨げるだけでなく、ITプロフェッショナルにありがちな燃え尽き感を永続させるものです。
最新のESMとAITSMには、広範なエコシステム全体でシグナルを検出できる、接続された相互運用可能なシステムが必要です。これにより、ITワークフロー外であっても、リアルタイムで問題を特定し、AIと自動化を組み合わせて対応することができます。
さらに、これらのスケーラブルでアジャイルなシステムは、ITチームの従業員の生産性と経験を向上させるというメリットもあります。
ESMの将来はどうなるのでしょうか?
ITサービスデスク自動化を変革するための2024年の計画において、最も重要な要素について専門家が検討します。
しかし、そこにとどまってはいけません。 AIが企業、従業員、顧客に及ぼす広範な影響について、自社の倫理的見解を確立し、それらに対処する実践方法を策定します。 例えば、AI導入に対する従業員の不安を和らげるために、従業員がテクノロジーの実情と、それが自分の役割にどのように適用される可能性があるのか、そしてその役割に適した存在であり続けるために何ができるのかを理解できるようなトレーニングを設定します。
組織全体で、AIがビジネスにとって最終的にどのような意味を持ち得るかについての議論を促進します。 どのような雇用が新たに生まれ、どのような仕事が他へ移行しなければならないかを理解するために、ユースケースを明らかにし、検討します。 組織の主要な機能を体系的に調べて、AIが組織全体に与える可能性のある影響を把握します。"
ロバート・グラッツィオーリ
Ivanti 最高情報責任者
組織には正確なデータが絶対に必要です。 不正確なデータや不完全なデータは、AI導入の妨げになります。AIには、学習と運用のために大量の高品質なデータが必要だからです。 さらに重要なことは、完全で正確なデータがなければ、後手後手の対応しかできず、先回りして問題を解決することはできません。
例:組織内にどのようなソフトウェアやハードウェアがあるかを把握していなければ、ほとんどの場合、経費を使いすぎています。 こうした死角を無くしていきましょう。 資産の可視性を向上させ、その資産を監視するための措置を講じます。 そうしたきめ細かなモニタリングデータによって、隠れたコストや不必要なコストを特定したり、コスト削減のための積極的な方法を検討したりすることができます。
次に、組織内にあるデータのサイロを組み合わせます。 このようなデータサイロには、資産インベントリ、資産管理ソフトウェアインベントリ、データセンターインベントリのサービスマップ、チケット、情報、ナレッジベース、モニタリングログなどがあります。 そのデータを組み合わせることで、資産を一元的に確認できるだけでなく、360度の視野を得て、さらに高い成果を達成するために利用できるようになります。
ダレン・ゴーソン
Ivanti SUEM 製品管理担当上級副社長
AIは、顧客サポートからシステムパフォーマンス、意思決定に至るまで、企業の業務全般を改善するためのパターンやつながりを発見することができるマイニングツールだと考えてください。
例えば、AIはITチームのリーダーが気づかないような顧客チケットのパターンを素早く特定することができます。 これにより、顧客の問題により迅速で効果的に対応できる解決策を明確にできます。あるいは、その問題を最初から回避するための予防策を提案することもできるのです。
同様に、AIのスピーディな分析能力は、パフォーマンス基準を満たすために必要なリソースを、ほぼリアルタイムで調整するために活用できます。 これにより、カスタマーサービスを向上させ、契約義務の履行をサポートし、需要に応じてリソースを拡張することでコスト管理に役立てることができます。
ロバート・グラッツィオーリ
Ivanti 最高情報責任者
AIナレッジマネジメント・プログラムは、情報の取得、整理、ランク付け、レンダリングの方法を合理化し、ユーザーのニーズや設定に関する情報に基づいて、提供される情報をパーソナライズします。 これにより、従業員が情報を探す時間が短縮されるだけでなく、知識のサイロ化も解消され、人員の入れ替わりや不足が発生した場合でも、チームやプロセスはよりダメージに強くなります。
例えば、ナレッジベースの記事を作成する場合、サービスデスクの担当者が何時間もかかるのに対し、生成AIは数分、あるいは数秒で作成することができます。 しかしそれ以上に、AIはコンテンツのライフサイクルを管理し、利用データに基づいてコンテンツの修正や置き換え、あるいはユーザーにより関連性のあるものにするよう提案することもできます。
ナレッジリポジトリを一元化し、さまざまなソースから知識を収集・統合することで、信頼できる唯一の情報源とすることができます。 ここでの目標は、障壁を取り除き、より包括的でアクセスしやすい知識共有環境を確立することです。"
シリヤド・パラカット
Ivanti エンジニアリング担当副社長
本レポートは、Ivantiが2023年上半期に実施した2つの調査「Everywhere Workの未来」と「デジタル従業員エクスペリエンスの新たな課題」に基づいています。 この2つの調査は、合計16,200人の経営幹部、IT専門家、オフィススタッフを対象に行われました。 本レポートはまた、第三者による調査結果も引用しています。
*Gartner, Top Strategic Technology Trends for 2024, By Bart Willemsen, Gary Olliffe, Arun Chandrasekaran, 16 October 2023
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