事業に影響を及ぼすようなトラブルを「インシデント」といいます。今回はインシデントにどのように対処していくべきかなど、インシデント管理の内容を中心に、インシデントについてご紹介します。管理をしっかりと行うことでインシデントの件数を減らすことができるので、インシデント発生に頭を悩ませているシステム担当者の方は参考にしてみてください。

インシデント管理、及びITサービス管理についてより詳しく知りたい方はこちらから関連記事をご覧ください。

インシデント管理とは

一般的に、企業では様々なITサービスを利用しています。それらのサービスが停止したり品質が低下したりすることで、ビジネスの計画やユーザーに悪影響を与える事案を「インシデント」といいます。たとえば社内で使っている経理システムの画面が動かなくなった場合や、社内のチャットツールが開けなくなるケースなどがインシデントになります。

インシデント管理は、インシデントが起きた際に「ビジネスへの影響を最小限に抑えて、迅速にITサービスを復旧することを目的としたプロセス」のことをいいます。一般的には次のような手順で行われます。

  1. インシデントの発生を認識する
  2. 状況を適切に把握する
  3. 解決策を立案する
  4. 解決策を実施
  5. 状況を回復させる

たとえば、経理システムの画面が動かなくなった原因を特定した際にメモリ不足が原因となっていた場合、メモリを解放することで状況を回復することができます。解決策は必ずしもひとつではなく、いくつかの解決策が立案される場合もあります。このようにインシデントが発生した際に状況を把握してから解決までのフロー仕組み化し、誰でも対応できる状態にしておくことがインシデント管理となります。

インシデント管理ツールを使うメリット

インシデント管理は簡単ではありません。インシデント管理をExcelやメールで行おうとして、余計情報が複雑になってしまうケースもあります。そのような事態にならないためにも、インシデント管理をする際には専用のツールを利用するのがおすすめです。専用ツールを使うことでインシデント解決のポイントをおさえることができます。

現状課題が明確になる

インシデント管理ツールを使えば、ヒアリングシートをもとにインシデント管理業務に関わる運用フローごとに課題を明確にできます。課題が明確になれば対策の指針が立てやすくなり、優先順位もつけやすくなるでしょう。

インシデント管理フローの標準化

インシデント管理のフローは組織全体で共有されていることが重要です。フローを属人化させないためにもインシデント管理フローの情報を集めて標準化し、運用の質を向上させる必要があります。ツールを活用すれば、インシデント管理フローを見直して運用の改善、標準化、情報の共有が行いやすくなります。

インシデント管理の運用オペレーションの定着

インシデント管理業務が複雑では日々の手間が増えてしまい、場合によっては定着しないケースもあります。インシデント管理ツールを使えば日々のインシデント管理業務を簡単にすることができ、確実に運用改善が行えるようになります。

インシデント状況の可視化

インシデント管理ツールを他のBIツールと連携すれば、インシデント状態を可視化することが可能です。状況を可視化することで運用の負荷やコストを分析しやすくなり、復旧までの時間を縮めることができるでしょう。

Ivanti Software株式会社のインシデント管理ツールを使うメリット

インシデント管理ツールには様々なものがありますが、その中でもIvanti Software株式会社のインシデント管理ツールを導入事例をもとにご紹介します。

ある建設会社は、導入前は情報システム部が各事業所や作業所から届く1日150件ものインシデントに対応するため、ヘルプデスクを設けていました。ヘルプデスク業務はアウトソーシングしており、アウトソーサーのインシデント入力システムを利用していました。

当時はインシデントの報告があった際に紙で管理し、後ほど入力するフローだったためリアルタイムな対応状況、傾向が把握できずサービス向上が行えていなかったようです。インシデントの要因分析もできていなかったため、同じようなインシデントが多発していました。
ここでは、そのような会社がインシデント管理ツールを導入したことで、どのような変化が起きたのか具体的にご紹介します。

導入事例についてさらに詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。

インシデント発生状況をリアルタイムに把握

それまでは一度メモに起こすという作業が発生していたため、インシデントの発生状況をシステム内でリアルタイムに把握することができませんでした。そこで管理ツールを導入したことで「今ユーザーに何が起きているのか」「新システムのカットオーバー日に問い合わせが集中していないか」「ウイルス等の外部の攻撃を受けていないか」などがリアルタイムで分かるようになりました。
インシデント状況をリアルタイムで把握できると迅速な対応が可能になり、事態の復旧もスピーディーに行えます。

ユーザーポータルで自己解決

管理ツールにはユーザーが自分で問い合わせ状況を確認したり、過去の問い合わせを参照したりできるユーザーポータル機能がついています。ツールを導入する前は、困ったことがあれば何でもシステム部への問い合わせがありましたが、ユーザーが自分で確認することで自己解決できる問題もあります。社内でユーザーポータルが浸透することで、システム部の業務もシンプルになりインシデントの再発防止などにも注力できるようになったようです。

ヘルプデスクのスキル向上やシステムの改善

管理ツールを使えばインシデントを様々な角度から分析することが可能になります。それによりヘルプデスクのスキル向上や、システムの改善に繋げることもできます。今回の例では、一度発生したインシデントの再発防止や、状況の回復までの時間を短縮することに繋がったようです。

柔軟なカスタマイズ機能による業務効率化

管理ツールは会社に合わせてカスタマイズすることができるため、システム部が使いやすいような状態で導入することができました。インシデントの入力画面を、サービスデスクの管理内容に合うように項目を変更、追加し、電話だけでなくWebでも受け付けられるようになりました。

まとめ

どんな企業も多かれ少なかれインシデントが発生するため、インシデント管理は必要不可欠な業務です。管理ツールの導入は、インシデントの解決と分析にかかる手間を考えれば決して無駄な投資ではありません。インシデント管理に課題を感じている会社は、管理ツールの導入を検討してみましょう。