ITシステムを利用するには、ハードウェアやソフトウェアなどさまざまなIT資産と人の連携が必要です。連携がうまくいかないと、「ソフトウェアをアップデートしたらハードウェアが対応していおらず、システムがストップしてしまった」というようなトラブルやバグが発生します。

そのような問題を防ぐために必要なのが構成管理です。この記事では構成管理とはなにか、また構成管理を導入する上で課題となるポイントもご紹介します。解決策も一緒にご紹介しますので、システム担当の方は参考にしてください。

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構成管理とは

構成管理(Configuration Management)とは、「顧客にITサービスを滞りなく提供するために、社内のIT資産やシステムの流れを管理すること」を指します。また、「組織としての開発手法をチーム全体に共有する」などのチーム管理の要素や、「ユーザーからのクレーム対応」なども含みます。あわせて、IT資産にはインフラ、ハードウェア、ソフトウェアなど以外にも、契約情報やライセンスといったものも含みます。

つまり問題や課題をスムーズに乗り越え、ITサービスの質を落とさずに顧客に提供し続けることが構成管理の役割です。

IT資産管理との違い

構成管理で管理する範囲は、基本的にIT資産管理と同じです。そのためIT資産管理をしている会社では、構成管理は不要だと考えるかもしれません。しかし、構成管理とIT資産管理は管理する対象と範囲は同じですが、その目的は異なります。

構成管理が「顧客にITサービスを滞りなく提供し続けるため」に管理しているのに対し、IT資産管理は財務もしくはコンプライアンスの観点から管理しています。「予算内でIT資産を社内に効率的に配布すること」や「ライセンス違反を防止すること」が主な目的です。

「IT資産管理をしている会社にも構成管理が必要なのか」という疑問に関しては、「新たな取り組みは必要ないが、新たな考えが必要になる」といえるでしょう。IT資産管理で社内のIT資産を把握する取り組みはそのままに、そこで得たデータを構成管理にも活かすことが重要です。

構成管理の重要性

構成管理がなぜ大事かというと、他の管理プロセスに大きな関係性があるためです。ITIL (Information Technology Infrastructure Library)を学んでいる方であれば理解しやすいかもしれませんが、構成管理は変更管理やリリース管理、インシデント管理と密接な関係があります。

さまざまな管理との関係

例えば、変更管理では変更を加える構成アイテムの情報が必要になり、変更対象となる構成アイテムの情報の記述が要求されます。

リリース管理では、リリースにかかる時間を想定するために構成アイテムの情報は必要不可欠で、それなくしては正確で確実なリリースはできないでしょう。

インシデント管理においては、インシデントが発生した際に過去の履歴を調べますが、その時に構成アイテムの情報が必要になります。

上記からわかるように、構成管理はITシステムを管理する上で「前提情報を揃える」役割を果たします。構成管理自体も重要ですが、同様に他の管理プロセスをスムーズに行うためにも構成管理が欠かせないのです。

構成管理を行わない場合のトラブル例

構成管理を行うメリットは理解できても、構成管理を行わないことで起こり得るトラブルを予測できないという方も多いのではないでしょうか。ここでは、管理構成を行わないことで起こり得るトラブルの例をご紹介します。

業務システムがストップしてしまう

構成管理を行わないままにセキュリティツールをアップデートした際、管理が行き届いていないことで「業務システム」を「不正ツール」と判断してしまい、業務システムの停止につながる可能性があります。他にも、新しいツールを導入した際に「不正ツール」と認知されて警告が出てしまうケースも考えられます。

IT資産の管理不足へつながる

構成管理を行っていない場合は、IT資産の管理も不十分であることが考えられます。知らずにライセンス違反を犯していると、ベンダーから多額の違反金を請求されることもあるのです。社内の業務を効率化するだけでなく社内を脅かすリスクを減らすために、構成管理、ひいてはIT資産管理の重要性が高まっています。

最近は開発環境も多様化しているため、想定していなかった影響が起きることも珍しくありません。もはや人力でシステムの変更による影響を完全に把握するのは難しくなっているといえます。

適切な構成管理を行うために必要なツール

先述したようなトラブルを回避するためにも構成管理が必要ですが、人力での構成管理には限界があります。社内のITシステムを正確に把握するためには、ツールを適切に使うことが必要不可欠でしょう。構成管理は専用ツールではなく、ツールの一部の機能を活用して行うのが一般的です。

ここでは、どのようなツールを利用すれば適切な構成管理が行えるのかについてご紹介します。

IT資産管理ツール

構成管理に使うツールといえば「IT資産管理ツール」が一般的です。

前述したように、IT資産管理と構成管理は目的は違っても、管理する対象はほとんど同じです。そのため、IT資産管理を使えば効果的な構成管理も可能となります。

手作業で行う構成管理には限界がありますが、IT資産管理ツールを使えば社内のIT資産を一元的に、それもライフサイクルまで管理することが可能です。一般的なIT資産管理には、それぞれのIT資産の関連性をマッピングしてくれる機能もあるため、感覚的にIT構成への影響を把握しやすくなります。

総合運用管理ツール

総合運用管理とは、「社内のITシステムの状況を一元的に管理すること」です。昨今、さまざまなITシステムが登場したことにより社内のITシステムの関係性は煩雑化しており、IT資産管理ツールだけでは全ての関係を把握できなくなっています。

より広範囲に管理できる総合運用管理ツールを利用すれば、IT資産管理ツールでは想定できなかった影響も把握でき、社内のIT環境を最適化できます。総合運用管理ツールを利用すればIT資産管理も可能なため、「これから構成管理とIT資産管理を行おう」と考えている方は、総合運用管理ツールを導入することをおすすめします。

Ivanti Software株式会社の構成管理

これからツールを活用して構成管理を行おうと考えている方には、Ivanti Software株式会社のツールをおすすめします。Ivanti Software株式会社のツールを使えば社内の構成ツールを効果的に管理することが可能です。ツール上でインシデント管理やリリース管理なども行えるため、ツール一つで社内のさまざまな業務を効率化させ、リスクを最小限に抑えます。

Ivanti Software株式会社の変更管理ツールに興味のある方はこちらもご覧ください。

こちらこのページでも製品の詳細についてご紹介しています。

まとめ

ここ数年で、社内のIT資産を管理することの重要性が急激に高まっています。社内の業務を効率的に進めるためだけでなく、ITサービスを問題なく顧客に提供し続けるためにも、構成管理の概念を社内で共有しましょう。組織が大きくなるほど構成管理の重要性は高まり、煩雑性も高まります。ツールの導入を検討し、早急に取り組むようにしましょう。