IT機能が企業の日常業務にますます組み込まれるようになる中、サービスを提供するビジネス部門の急速に変化するニーズに対応するため、ITILフレームワークを含むITサービスマネジメント(ITSM)のベストプラクティスを採用するIT部門が増えています。では、ITSMの具体的なメリットとは何でしょうか。 

企業は、収益目標の達成に向けてビジネスに不可欠なサービスや機能を効率的かつ生産的に提供するため、社内ITチームへの依存度をますます高めています。そのため、ITSMのメリットは実質的かつ測定可能である必要があります。 

ITSMがもたらす数多くのメリットを確認 

以下では、ITサービスマネジメントのプロセス、ポリシー、手順を採用することでIT部門が得られるITSMの20のメリットを紹介します。成功している多くのITチームが、IT運用の指針としてITSMを活用している主な理由は、この幅広いメリットにあります。 

1. 効率性の向上 

「効率性」とは、利用可能なリソースを最大限に活用することを意味します。ITサービスマネジメントには、組織がリソースを最大化するのに役立つ多くの要素があり、その一つがIT資産管理です。これは、IT資産のライフサイクル管理を最適化し、資産の調達と廃棄について最もコスト効率の高い戦略を見いだすために使用される一連のプロセスです。  

ITILフレームワークに基づいて運用している組織にとって、継続的なサービス改善のプロセスは、各サービスのライフサイクルにおける重要な構成要素です。その結果、サービス機能が時間とともに最適化され、継続的に効率性が向上します。  

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2. 運用コストの削減 

ITインフラストラクチャおよび運用(I&O)チームが直面する変化により、ソリューションの購入・管理方法に対する考え方も変わりつつあります。IT部門の規模が拡大し成熟度が高まるにつれ、さらに多くのI&Oスタッフを雇用する必要に迫られます。そうしなければ、戦術的な運用プロセスに過度な負担がかかるリスクがあります。  

ITサービスマネジメントを採用すると、IT担当者の手作業の負荷を減らす自動化機能により、過剰な採用を行うことなく、IT部門は運用をより容易に拡張できます。 

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3. リスクを抑えたIT変更の実装 

変更の計画、テスト、組織全体への周知が不十分な場合、新たに実装された変更が重大なビジネスまたはサービスの中断を引き起こすリスクが高まります。

ITILの変更管理プロセスは、IT部門がIT環境に新しい変更を実装する際、その変更がビジネスに損害を与えるリスクを制限または排除できるようにするための仕組みを示しています。  

定義された役割、プロセス、ポリシーが連携することで、社内顧客との明確なコミュニケーション、潜在的な影響に基づく適切なチャネルでの変更承認、そして展開時に問題が顕在化するずっと前の設計段階での潜在的課題の特定を可能にする変更管理プロセスを構築・支援します。 

4. 標準化による説明責任の向上 

ITSMのもう一つの重要なメリットは何でしょうか。サービスの標準化を通じて説明責任を確立することは、ITサービスマネジメントを特徴づける要素であり、IT部門がサービス提供に関するITポリシーや手順へのコンプライアンスを向上させるのに役立ちます。

ITSMの中核的な目的の一つは、ITサービスデスクなどの機能と、各種ITサービスを提供するための正式に文書化されたプロセスを導入し、社内のサービス提供を標準化することです。 

ITサービスマネジメントソフトウェアにより、ITマネージャーは担当者の行動や、インシデントまたはサービスリクエストへの対応方法を追跡することもできます。これらの機能により、IT部門がサービスをどのように提供しているかを高いレベルで可視化できます。ITマネージャーはインシデント記録を確認し、サービスが社内全体で一貫して、かつポリシーや手順に準拠して提供されていることを検証できます。 

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5. ビジネス機能内の説明責任の向上 

「ビジネス機能」とは、企業が実行する活動を指します。これらは、収益を生み出すことを目的としたコア機能と、コア機能を支援し効率化するサポート機能に分けられます。IT自体はほとんどの企業において重要なサポート機能であり、特にIT部門が自らの活動を全体的なビジネス目標や業務により密接に整合させるためにITSMを採用している企業では、その重要性が高まります。 

これらの機能内で説明責任を向上させるため、ITサービスマネジメントには、組織のネットワークおよびITインフラストラクチャ上のアクティビティを監視し、企業のセキュリティポリシー違反を検出するためのプロセスの導入が含まれます。  

6. 有効性の向上 

IT部門全体の有効性はどのように測定すればよいでしょうか。ITマネージャーであれば、チームのパフォーマンスを測定するために使用する最も重要な主要業績評価指標(KPI)を選定する責任があります。また、それらのKPIを時系列で追跡し、自社がその指標において有効性を高めているかどうかを判断する必要もあります。 

ITSMのメリットの一つは、その構造とプロセスを採用した組織が、適切に実行されれば時間の経過とともにKPIの改善を促進する正式な仕組みの恩恵を受けられる点です。体系化されたインシデント対応を採用することで、平均応答時間と平均解決時間を短縮できます。また、危機管理に重点を置くことで、サービス中断が発生した際の平均復旧時間(MTTR)の短縮に役立ちます。  

ITSMは、継続的なサービス改善プロセスを通じて、ITサービス提供のあらゆる側面の有効性を高めるためのフレームワークを提供します。 

7. 運用の可視性の強化 

「可視性」とは、ビジネスのさまざまな領域にいるマネージャー、経営幹部、スタッフが、他の領域で何が起きているかを把握できる度合いを表します。IT運用の可視性不足は、ITサービスマネジメントをまだ採用していない組織に共通する課題です。  

ITSMの考え方では、ITとビジネス戦略を整合させる必要があります。これは、IT運用においてどの活動がどの時点で優先されているのかを、ビジネス側が正確に把握できるようにするプロセスです。ITニーズが成熟するにつれて、IT運用全体の品質と効率性を確保しながらIT変更を処理するのに役立つ追加機能のメリットを得られます。  

8. パフォーマンスの可視性の向上 

IT運用が複雑になるほど、より包括的な成熟度が求められます。そのため、サービス提供と価値をさらに向上させるには、IT資産とその関係性に関する可視性とインサイトが必要です。 

ITサービスマネジメントは、IT部門がサービス提供を標準化し最適化するために従うことができる、一連の正式なプロセスとルールを導入します。このようにしてITSMは、以下に示す能力成熟度モデル統合(CMMI)の尺度に沿って、IT部門内のプロセス成熟度を高めます。IT部門がプロセスを成熟させるにつれて、パフォーマンスの可視性が向上します。 

  • レベル1(初期)。予測が難しく、十分に管理されていないプロセス。一貫性がないため、パフォーマンスを測定できません。 
  • レベル2(管理)。一部のプロジェクトではプロセスが特徴づけられている場合がありますが、多くの場合は受動的で、標準化が不足しています。 
  • レベル3(定義)。ITSMは、組織がプロセスを明確に定義するのに役立ちます。 
  • レベル4(測定)。プロセスが標準化されると、ITSMソフトウェアを使用してプロセスからデータを取得し、そのパフォーマンスを測定できます。このデータを取得できることにより、組織が第5段階へ進むのに役立つ、パフォーマンスに対する真の可視性が生まれます。 
  • レベル5(最適化)。組織はパフォーマンスの可視性を活用して、時間の経過とともにパフォーマンス改善を推進するインサイトを得ます。 

9. セルフサービスの生産性向上 

組織はITSMのベストプラクティスを活用して、セルフサービスの生産性向上を推進します。セルフサービスは、従来のヘルプデスクモデルに代わる便利な選択肢であり、IT担当者の支援なしに、テクノロジーに詳しいユーザーがインシデントを解決したりサービスリクエストを完了したりするのに役立ちます。その結果、チケット解決コストの削減と顧客満足度の向上につながります。 

堅牢なセルフサービスカタログを確立し、ユーザーが自力でより多くの問題を解決できるナレッジベースを整備することは、いずれもセルフサービスの生産性向上を促進するITサービスマネジメントの重要な構成要素です。

AI搭載チャットボットやサービスポータルなどの最新テクノロジーでユーザーのサービス体験を変革することで、可能な限り魅力的なセルフサービスを提供し、ITと企業全体に世界水準のサービスマネジメント成果をもたらすことができます。  

10. サービスと顧客体験の向上 

企業のIT部門にとって「顧客」とは、日々の活動を支えるためにITサービスに依存している社内ユーザーを指します。ITSMのさらなるメリットは、その2つの構成要素がサービス提供と顧客体験の向上にどのように役立つかに表れています。 

  • サービス戦略プロセスでは、IT部門が自らの活動をビジネスのニーズに合わせることが求められます。これは最終的に、ITチームがビジネス側の求めるサービスに取り組むことを意味し、より良い顧客体験につながります。  
  • もう一つの重要な側面は、正式なチケット管理およびインシデント対応システムです。インシデント管理プロセスは、提出されたすべてのインシデント報告またはサービスリクエストにIT部門が確実に対応できるようにすることで、サービスを改善します。 

これにより、IT運用は「シフトレフト」の成果をもたらす高度な成熟度ソリューション、自動化、AIのメリットを活用できます。問題がユーザーや組織に影響を与える事象になる前に、プロアクティブに検出して修復できるため、従業員体験を真に変革し、向上させることができます。 

11. アクセスとコミュニケーションチャネルの改善 

ITSMを採用するIT部門は、IT担当者やサポートへのアクセスを改善し、ITチームとビジネス部門の間のコミュニケーションも向上させることができます。

これは、ビジネス部門とITチームの単一窓口として機能し、インシデント管理、イベント管理、リクエスト対応などのプロセスを支援するITサービスデスクを設置することで実現できます。ITサービスデスクは、すべてのユーザーが適切なチャネルを通じてITサポートにアクセスできるようにします。 

12. 不要な作業負荷の削減 

自動化はIT部門にとって主要な重点領域であり、煩雑な手作業と、手動プロセスによって避けがたく発生する人的ミスの排除を目指しています。ただし、自動化を効果的に活用するには、IT部門はITSMソフトウェアを使用してITサービスの管理を始める必要があります。 

これにより、人の作業によってプロセスを実行する方式から、自動化されたアクティビティを通じて実行する方式へ移行できます。自動化サービスにより、サービスオーナーやビジネスマネージャーは、コーディングなしでワークフローを適応、設計、制御できるようになり、サービス品質と一貫性が向上します。その結果、IT担当者の作業負荷が減り、イノベーションや価値創出につながる活動に充てられる時間が増えます。 

13. ITSMソリューション投資のROI向上 

ITSMソフトウェアに投資したものの、IT部門のパフォーマンス向上にほとんど、あるいはまったく効果がないことに気づく組織もあります。そうした組織は、ROIを測定する前にITSMツールを断念してしまうことが多く、そのROIもおそらくマイナスである可能性があります。 

実際には、ITSMの採用と実装は、単にソフトウェアを購入することにとどまりません。ITサービスマネジメントとは、主要なITサービスや機能を管理するためのベストプラクティスを反映したプロセスを採用し、それらのプロセスが確実に遵守されるようにポリシーと手順を整備することです。効果的なITSM導入には、効果的な管理、経営層とスタッフの賛同、そして実質的なプロセス変更がすべて必要です。 

組織がすでに企業向けITSMソリューションに投資している場合は、ITSMの取り組みを支える人材とプロセスの改善に注力することで、ROIを高めることができます。 

14. より効果的な計画の実現 

ITサービスマネジメントは、組織がさまざまな好影響をもたらす、より効果的な計画活動に取り組むのを支援します。これもITSMのメリットの一つです。しかし、サービスを管理するためのこのような体系的アプローチがなければ、IT部門は回避できたはずの無駄につながる不適切な戦略的意思決定を行う可能性が高くなります。  

顧客側のステークホルダーからの意見を取り入れてサービス戦略を策定する、変更に対するレビューと承認プロセスを導入するなど、ITSMのベストプラクティスは、IT部門が行動に移す前に十分に検討された計画を用意できるようにします。 

15. ビジネスの時間を節約 

ITSMのもう一つのメリットは何でしょうか。ITILフレームワークを見ると、ビジネスの時間節約を支援することで効率性を高めることを目的としたITSMプロセスが数多く見つかります。 

時間節約につながるITILプロセスの最も良い例は、ナレッジ管理です。その目的は、ビジネスがすでに学んだ情報を再発見する必要性を減らす、またはなくすことにあります。効果的なナレッジ管理プロセスにより、IT部門は社内のあらゆる領域間で効果的な情報共有を支えるナレッジベースを維持できます。 

その結果、IT部門は情報共有を効率化し、情報を再発見したり、既知の問題に対する回答を探し回ったりする時間を減らすことで、大幅な時間節約を実現できます。 

16. ビジネスコストの削減 

ITSMの最も具体的なメリットの一つは、もちろん、ITサービスマネジメントが文字どおり何百もの方法でビジネスのコスト削減に貢献することです。情報共有を支援して時間を節約するナレッジ管理プロセス(結局のところ、時は金なりです)から、データ侵害による財務的・法的な悪影響から企業を保護する情報セキュリティプロセスまで、ITSMのベストプラクティスはコスト削減とリスク軽減を推進するように設計されています。 

17. 変更をより効率的に管理 

ITSMは、変更管理プロセス中にリソースを効率的に割り当てられるようにする変更管理のフレームワークを提供します。リリース展開を伴わない軽微な変更は、内容が十分に理解されておりリスクが低い場合、迅速に承認できます。

通常の変更は変更マネージャーが直接承認できますが、大規模な変更、なじみのない変更、または緊急変更を承認する前に、変更諮問委員会(CAB)に相談することもあります。 

変更の性質に応じて承認プロセスを適切な規模に調整できることは、ITSMプロセスがIT部門による変更管理の効率化を支援する方法の一つです。 

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18. 異なるビジネス機能間のコラボレーション改善 

ビジネス機能を企業が実行するすべての活動と定義すれば、ITSMのポリシーとプロセスを導入することで、IT部門が他の機能とより効果的に連携できるようになることは容易に理解できます。ITSMフレームワークの下では、IT部門は財務部門と協力してIT投資の展開を最適化します。ファシリティマネージャーは、情報セキュリティプロトコルへの準拠を確保するためにITマネージャーと協力する場合があります。  

ITSMはまた、インシデント報告プロセスを通じてユーザーにITの問題を報告することを促し、IT部門がアプリケーションやサービスのパフォーマンスに関するより多くのフィードバックとデータを収集できるようにします。 

19. ITプロセスとサービスの透明性向上 

サービスカタログのないIT部門は、メニューのないレストランのようなものです。優れた能力を持っていても、多くの注文を受けることはできません。ユーザーには、どのような種類のサービスを依頼できるのか、またその依頼をどのように処理してもらえるのかを理解するために、ITプロセスとサービスに関する透明性が必要です。  

ITサービスマネジメントは、IT部門が顧客に提供しているサービスの包括的な一覧を含むサービスカタログを整備することで、この透明性を支援します。このようなカタログは、社内顧客がITの提供できるサービスを最大限に活用できるようにするのに役立ちます。これは一見目立ちにくいものの、依然として重要なITSMのメリットの一つです。 

20. 他のIT投資に対するリターン向上 

予算があれば、最高のサーバー、究極のネットワークインフラストラクチャ、そして購入可能な最上位クラスのコンピューターに投資できます。

しかし、どれほど費用をかけても、ITインフラストラクチャを支える適切なプロセスが整っていなければ、その投資価値を実現できない可能性が非常に高くなります。たとえばサーバーに多額の投資をしても、適切な定期メンテナンスと管理がなければ、そのパフォーマンスは時間の経過とともに低下します。 

そのため、ITSMの他の注目すべきメリットとして、ITSMに従うIT部門が構成管理データベース(CMDB)を確立し、IT資産の所在と利用状況をより適切に追跡できる点が挙げられます。

このデータベースにより、IT投資が生産的に展開されていることを確認でき、IT資産の稼働時間と可用性の最大化にも役立ちます。また、IT資産の廃棄に関する正式なプロセスは、組織が使用済みITインフラストラクチャを手放す際に、最大限の回収価値を得られるようにするのに役立ちます。