Windows 10は、不具合の修正や機能の強化のために定期的に大型アップデートを実施しています。2019年2月現在で最新の大型アップデートは、2018年10月に実施された「October 2018 Update」です。このアップデートは重大な不具合があったためすぐさま取り消されましたが、2019年1月には修正され、再配信されています。

今回は、October 2018 Updateで発生していた不具合と併せて、さらに便利になったWindows 10の新機能についてご紹介します。

なお、この記事で扱っているのはWindows 10の機能を改善するための「アップデート」であり、Windows7や8からWindows 10へバージョンアップする「アップグレード」とは別です。Windows 10へのアップグレードの情報をお探しの方は、以下の記事をご参照ください。 

不具合を経て配信された「October 2018 Update」について 

Windows 10は2015年7月のリリース以降、アップデートを重ねて不具合の修正や機能の強化を進めています。2019年2月現在、最新版は2018年10月初旬に配信された大型アップデート「October 2018 Update」ですが、このバージョンはリリース直後に重大な不具合が見つかったためすぐさま配信が停止されました。その後修正して再配信され、現在はほとんどのWindows 10のPCにインストールされています。

October 2018 Updateの不具合で最も重大だったものは、「ドキュメント」フォルダ内にあるファイルが消えてしまうというものです。この不具合が起きたユーザーはごく少数だったとされていますが、ユーザーによっては「23年分のデータ220GB分が消えた」という報告もあったと言います。配信の停止後、すぐさま問題は特定され、解決するための更新プログラムがリリースされています。その後慎重なテストが重ねられ、重大な不具合は解決したとしてOctober 2018 Updateは再配信されています。

不具合に当たってしまったユーザーは不運だったと言えますが、常にバックアップを取っておくことでこのようなトラブルを回避することが可能です。以下の記事にてWindows 10に搭載されているバックアップ機能についてご紹介しているので、特にバックアップ対策をしていない方は併せてご覧ください。

バックアップ機能の記事はこちらから:https://www.ivanti.co.jp/blog/windows10-restore-functions-steps

なお、October 2018 Updateの不具合はひとつだけではなく、ファイルの消失ほど重大ではないもののいくつかの不具合が報告されています。

例えば、ZIP形式に圧縮したフォルダ内から別のフォルダへファイルをコピーしようとするとデータが消失することがある、October 2018 Updateの環境下ではiCloud for WindowsやIntel製のディスプレイ・ドライバーをインストールするとモニターのスピーカーから音が出ない、などです。

報告されている不具合のほとんどはすでに解決されていますが、自身のPCで何か不具合が起きているようなら情報を確認してみましょう。

パソコン

October 2018 Updateの新機能3選

Windows 10はアップデートを重ねることでさまざまな機能を強化し、常に進化しています。ここでは、October 2018 Updateで搭載されたさまざまな新機能のうち、操作性の向上や作業の効率化が特に期待できる3つの機能についてご紹介します。なお、自身のPCがOctober 2018 Update適用済みかどうかは「設定」→「システム」→「バージョン情報」と進むことで確認可能で、「Windowsの仕様」の「バージョン」が「1809」になっていれば適用済みです。

クリップボード

テキストや写真などをコピー&ペースト、あるいは切り取り&ペーストするときに一時的に保存しておく「クリップボード」の機能が強化されました。

これまでは1つの情報しかクリップボードに保存できませんでしたが、October 2018 Updateでは複数の情報がクリップボードに保存され、ペーストの際に履歴から呼び出せるようになっています。最後にコピーあるいは切り取りした情報は、従来どおり右クリック→「貼り付け」、もしくは「Ctrlキー」+「V」でペースト可能ですが、それ以前の履歴は「Windowsキー」+「V」で呼び出します。

新しいクリップボードの機能を使うには、簡単なセットアップが必要です。履歴を呼び出すためのショートカットキー「Windowsキー」+「V」を押すと「履歴を表示できません」という画面が出てくるので、「有効にする」をクリックすれば、次からは履歴が表示されるようになります。

なお、Windows 10の新しいクリップボードはクラウド上に保存されるため、同じMicrosoftアカウントでログインしている別のPCやタブレット端末で共有することも可能です。

モバイルデバイス

スマホ同期 

PCとスマホを同期することで、スマホで撮った写真や閲覧していたWebページ、ショートメッセージをPCでもすぐに確認できるようになりました。同じWi-Fiに接続しているなど、PCとスマホが同じネットワーク内にあれば、特別な操作をすることなく写真を確認したりWebページの続きを見たりといったことが可能です。

セットアップするには、まずPC側で「スマホ同期」のアプリケーションを有効にします。スタートメニューの「さ」行の欄にスマホ同期があるので、これを開き、サインインしているMicrosoftアカウントを確認します。表示内容を確認しつつ「そのまま進む」→「そのまま進む」→「開始」と進むと「AndroidまたはiPhoneをこのPCにリンクする」というページが表示されるので、電話番号を入力して送信します。

次にスマホの設定に進みます。ショートメールが届いているので、記載されているURLにアクセスし、Androidの場合は「スマホ同期管理アプリ」を、iPhoneの場合は「Microsoft Edge」をインストールします。インストール完了後、PC側で「閉じる」をクリックし、スマホで接続を許可するかどうかの通知に「許可」すれば、PCとスマホの接続は完了です。

なお、スマホ同期の機能を使って写真やショートメールの確認ができるのはAndroidのみで、2019年2月現在、iPhoneでできるのはMicrosoft Edgeで閲覧しているWebページの同期のみです。iPhone版でも、今後機能を強化する予定だとされています。

切り取り&スケッチ

PC画面の一部を切り取り、メモを書き込んですぐさま共有できるアプリケーション「切り取り&スケッチ」が追加されました。PC画面の任意の範囲を素早く切り取れるだけでなく、メモや直線などが書き込めるため、遠隔による共同作業がよりスムーズになります。

切り取り&スケッチは、スタートメニューの「か」行の欄にあります。「新規」をクリックすれば、PC画面の任意の範囲やPC画面全体をコピーし、ペンや鉛筆のツールを使ってメモ書きができます。定規ツールを使えばきれいな直線が、分度器ツールを使えばきれいな曲線や円が描けるのも便利です。定規ツールの確度や分度器ツールの大きさは、マウスのホイールで調整できます。

切り取り&スケッチは、画面右下にある通知ボタンから起動することも可能です。クリックすると「画面領域切り取り」があるので、これをクリックしてコピーしたい画面領域を選択し、右下に出てくる通知をクリックすれば編集画面が開きます。編集が終わったら、画像として保存できる他、コピーしてWordやPowerPointなどに貼りつけたり共有ボタンからTwitterやメールなどに転送したりできます。

なお、切り取り&スケッチと似たような機能の「Snipping Tool」はしばらく使用可能の状態でしたが、現在は削除されています。

Windows 10の新機能を使いこなそう 

一度は大きな不具合により配信停止もあったOctober 2018 Updateですが、不具合のほとんどは修正され、PC作業を改善するさまざまな新機能が利用できます。上記にてご紹介した機能以外にも、アプリケーションのベースカラーが白から黒になる「ダークモード」の拡大やメモ帳の機能強化、商用利用可能なフォントの追加、セキュリティ機能の強化、Microsoft Edgeの使い勝手強化など、さまざまな改善が施されています。今後もWindows 10は機能が強化されていると見込まれるので、今後の大型アップデートにもぜひ注目してみてください。