現在、企業のニーズは絶えず進化しており、市場ダイナミクスは急速に変化し、かつてないほど力を持っています。一方で、規模を問わず実質的にすべての企業がITサービス管理(ITSM)を強く必要としている現状があります。そしてこのニーズは今後も変わらず続くでしょう。

企業のニーズがこれからも進化し続けることは間違いないでしょう。ただし、ITSMに関連する基本的なニーズの多くは、20年前から変わらず存在しており、企業が抱くこれらの「望み」は、今後20年間変わらないでしょう。 

ITSMは企業が事業運営することを可能にする鍵であることは紛れもない事実です。ITSMに長けている企業が事業の成功を見出している傾向が高い一方、ITSMに苦戦している企業にとっては、ITSMが企業にとって基本的な課題になっています。

企業がITSMに何を求めているのかを理解することは、IT事業部門と企業にとって重要な要素であるITSMに関する認識を高めることにつながります。ITSMに関する認識がはっきりし、求めていることに重点的に目を向けられるようになると、業績が改善され、成功につながる可能性が高くなる傾向にあります。

ITSMに関連する企業の主なニーズ4つをさらに精査すると、企業が期待していることだけでなく、IT部門が期待されている要件に応える方法について理解を深めることができます。

1. 満足度の高いサービスの提供

ITSMに企業が求めている重要な要素、それは「満足度の高いサービスの提供」です。シンプルでありながら非常に影響力のあるこの要素は、企業にとって大きな意義を持ちます。社員に満足度の高いサービスが提供されれば、その社員は能力を最大限に発揮して業務を遂行でき、他の社員、そして最終的にはお客様に価値をもたらすことができます。 

ここには価値の連鎖が存在します。最初社内に存在している価値が、様々な形や方法で企業のパートナーやお客様に拡大されます。その形や方法は、目に見えることもあれば、すぐにはわからない場合もあります。

簡単な例にあてはめてみましょう。ある社員が使用しているノートパソコンに問題が発生したとします。このノートパソコンは、メールの送受信やお客様にサポートを提供するために日常業務で必要となるアプリケーションの実行など、通常の業務に使用されています。したがって、問題が生じていることにより、カスタマーサービスへの影響など、生産性に大きな影響が及ぶ可能性があります。 

ただし、この問題が速やかに、例えば数分程度で解決されれば、企業は社員が日常業務を遂行する環境を保護でき、お客様への影響を回避できるでしょう。反対に、この社員のノートパソコンの問題対応に遅れが生じ、数時間、最悪の場合には数日間、問題が解決されなければ、これは企業にとって大きなリスクとなります。これはインシデント管理に関する極めて簡単な仮定ですが、ITSMの企業への影響の重要な関連性については十分に理解できるでしょう。

ITSMからの速やかなサービスは、IT部門、そして企業にとって成功の起爆剤となります。

2. プロセスの原則

20年以上前にIT部門でITSMが誕生して以来、ITSMが企業に重要な貢献を行うという構図は、主要なプロセスにとって必要不可欠な構図、フロー、原則となっています。このプロセスには、根本的なプロセスになるインシデント管理と問題管理をはじめ、新しくこれまでより柔軟なサービスモデルで提供できるようになりましたサービスカタログとサービスリクエスト、そして、戦略的なプロセスになるサービスポートフォリオ、構成管理変更管理が含まれます。

これらのプロセスはIT部門に関連することがほとんどですが、優れたITSM戦略の影響と、全社規模で戦略を遂行することの影響を過小評価すべきではありません。例えば、監査とコンプライアンスの要求を満たすために企業は、堅実なプロセスに大きく依存していますが、このプロセスはIT部門のITSM責任者によって設計、実施されています。これは企業にとってはかなり大きな問題です。また、プロセスと同じように正確かつ堅実なCMDBに支えられている変更管理など、堅実な戦略的プロセスが、銀行、金融機関、医療などの業界に属する企業が監査やガバナンス、コンプライアンスの取り組みを成功させる能力に直接影響している事例は多くみられています。

信頼できるITSMプロセスと確固たる企業の規則が存在する場合、多くの場合、堅調な業績につながります。

3. 自動化向けのプラットフォーム

IT部門に突如として出現した自動化とAI(人工知能)には、今後数年の間に私たちの日々の働き方を変える可能性が秘められています。このような大きな可能性を秘めているものは他にはほとんどありません。IT部門にとって自動化は非常に有用かつ価値のあるものになることが期待できることから、新たな技術である自動化やAIはすぐにITSMを実践する際に、当たり前の技術として活用されるようになるでしょう。

ITSMは、IT部門そして企業全体を対象とした事業プロセスの設計と実行の本質的な起爆剤となるため、そこには相乗効果が生まれます。場所を問わず利用できるサービスリクエストなどITSM事業プロセスの自動化が進んでいることは、サービスをさらに速やかに、さらに一貫性があり、さらにカスタマイズされ的が絞られた方法で、時間を問わず提供することを可能にするため、ここで取り上げた他の事業部門の業務を補完することにつながるでしょう。 

これこそまさに自動化が持つ力です。そしてこの戦略はIT部門の認識を変え、企業を活性化させます。自動化とAIの影響はさらに広範に及びます。例えば、この影響には、ITSM事業部門とIT部門をより主体的かつ戦略的な事業部門へと変える力があります。これは、ITSM事業部門が長年強く望んでいたことであり、自動化とAIにより、ようやく実現が夢ではなく現実的な射程に入ってきています。

ITSMIT部門と企業を徹底的に自動化するためのプラットフォームとしてお考えください。

4. 事業をつなぐ

ITSM事業部門は、IT部門全体および企業とのつながりを築いています。幅広い事業プロセスが拡大していることから、IT部門と企業にとっての「推進力のハブ」という表現は、ITSM事業部門の説明としてかなり正確だと言えます。多くのつながりが、コミュニケーション、事業プロセス、そして実質的に企業のあらゆる要素を運営する情報とサービスの日常的なフローを通して実現されています。

たとえば、企業の資産、日々提供されるサービス、そしてサービスを消費する人々の間に存在する極めて重要な関係は、ITSMのますますダイナミックに進化しているモデルの中に存在します。チームの中での優先事項や成果物に集中して取り組む、それぞれが独立して存在し、互いに連携しないチームを集めた組織として、IT部門を運営することは不可能であることは周知の事実です。IT部門の新しいモデルは、ITSM事業部門そして最終的にはIT部門のすべての業務を対象に新たな目的意識を生み出すモデルです。このモデルは、イノベーション、ユーザーエクスペリエンス、顧客エンゲージメントなど戦略的目標に関連する認識を新たなレベルへと引き上げます。また、実質的に企業のあらゆる事業に関与するITシステムすべてのパフォーマンス速度を加速させます。 

部門横断的な性質があり、主な事業プロセスの責任を有するため、ITSMはこの変更の出発点となり、さらには、ITSM事業部門がIT事業の変革を指揮するリーダーとして認識されるきっかけとなる高い可能性があります。

技術はあらゆる企業の原動力となっており、「インテリジェント」な技術もますます企業を動かす重要な役割を担うようになっています。そして、これらの技術を管理する責任を負っているのが、ITSM事業部門とIT部門の優秀な人材なのです。かつてないほど、企業にはITSM事業部門からの技術リーダーシップが必要となっています。そしてITSM事業部門は、企業の期待に応える体制を整えています。

今後のITSM市場について関連記事でご紹介していますので、以下のページリンクより是非お読みください。

「2019年はITサービス管理が変わる・ITSM市場でAIが活躍する一年になる理由」:https://www.ivanti.co.jp/blog/here-s-why-2019-will-be-the-year-of-ai-in-itsm