2024 Everywhere Workレポート
フレキシブルな働き方を促進させるために
フレキシビリティ(柔軟性)は、Everywhere Work(どこでも職場)へ促進させる新たな呼びかけです。ナレッジワーカー(知識労働者)は、時と場所にとらわれることなく働くことのできる体制を志向し、効率アップにつながる高性能テクノロジーを求めています。 CIO、CISOが提供できるものとは?
フレキシブルな働き方を促進させるために
フレキシビリティ(柔軟性)は、Everywhere Work(どこでも職場)へ促進させる新たな呼びかけです。ナレッジワーカー(知識労働者)は、時と場所にとらわれることなく働くことのできる体制を志向し、効率アップにつながる高性能テクノロジーを求めています。 CIO、CISOが提供できるものとは?
過去5年間で従業員の働き方に対する希望が根本的に変化を遂げ、 現在も変遷し続けています。わずか数年前までは、働く場所 (オフィスか自宅か)が議論の対象とされていました。 Everywhere Workというコンセプトがさらに普及したことに伴い、どこで、いつ、どのように働くかについても考慮されるようになり、フレキシビリティが働き方における優先事項となりました。
大半のナレッジワーカー(80%) がフレキシブルな働き方を重視する一方で、実際にフレキシブルワークをしていると答えたワーカーは25%にとどまっています。このようなギャップは、会社にも大きく影響します。
多くの従業員にとって、働き方における柔軟性には交渉の余地がなく、リモートワークよりも複雑な問題となっています。
従業員は、日々のスケジュールや早退の自由、場所を問わず勤務できるフレキシブルワークなど、自分自身で勤務時間を調整できる環境を望んでいます。このような希望は「あればいい」ものではなく、優秀な労働者にとって欠かすことのできない条件だといえます。会社側に、このような要望に応える準備はできているでしょうか?
テクノロジードリブンの改革や成長をリードし、企業にとって不可欠なナレッジワーカーは、いつ、どこで働くかを問われることなく、平等な待遇と評価が受けられることを望んでいます。自席のデスク前にとどまっている時間ではなく、自身の挙げた成果とパフォーマンスによって評価を受けたいと考えています。また、会社や上司が自身の勤務をモニタリングすることを良しとせず、3人につき2人が監視システムは容認できないとしています。
優秀な従業員は、リモートワークの可能性、フレキシブルなスケジュールでの勤務、新しい働き方をシームレスにできるためのツールを求めています。
Everywhere Workを推進するビジネスケースを見てみましょう。
IT人材、データサイエンティスト、デジタルクリエイターをはじめとした、優れた人材の確保を求める企業にとって、Everywhere Workを促進することは必須の条件だといえます。会社は、ハイブリッドワークやフレキシブルな勤務スケジュールの容認だけではなく、セキュリティを担保したうえで場所を問わずシームレスに勤務するためのツール、エクスペリエンス、インフラストラクチャも提供しなければなりません。
不自然なことに、Everywhere Workを推進するIT担当者は、リモート、ハイブリッド、フレキシブルワークのメリットの一部を見逃しています。85%のIT担当者は、フレキシブルワークが非常に有効だと回答しています。一方で、現在の業務において実際にフレキシブリワークが可能だと答えたのは27%にとどまっています。会社が必要要素の提供を怠った場合、優秀なIT人材をはじめとした代替の難しい従業員の離職や不満の噴出を招くことになるでしょう。柔軟性のある働き方が認められていなければ、新たなIT人材の採用はさらに難しくなります。45%の人材は、フルタイム勤務を課す会社には関心がないと答えています。
経営幹部は、この事態をどの程度理解しているでしょうか?調査対象となった大半の幹部は、リモートで働ける従業員はそうすべきだと考えています。従業員がオフィスでフルタイム勤務を希望している幹部はわずか15%にとどまり、3年前に実施したIvantiの調査結果と比較すると着実に減少しています。
しかし、Everywhrere Work環境をスムーズに実現するためのテクノロジーに対する理解は遅れています。調査対象の経営幹部の90%以上は、従業員がリモートやハイブリッドワークでも生産性を高めるためのツールを持っていると回答していますが、従業員はそうではないと答えています。明日からリモートワークとなった場合に、普段使用している同じツールに簡単にアクセスできると答えた従業員は、わずか57%です。
このレポートでは、従業員の生産性を高め、企業の安全性を維持するためのツール、戦略、さらにはリーダーシップのビジョンなど、IT とセキュリティの観点から、ナレッジワーカーのフレキシブルな働き方への要望を掘り下げています。
ハイブリット/リモートワークの普及によってIT関連のワークロードが増大し、本調査が示しているように、非常に高い割合で燃え尽き症候群が観察されています。AIと自動化を受けて、複雑化を続けるテクノロジーのインフラストラクチャへの対応に追われるIT担当者の過労が軽減されることになります。
Ivantiの調査は、フレキシブルワークとリモートワークがIT担当者のワークロードに直接的に影響を与えていることを明らかにしています。IT担当者の56%は、ヘルプデスクのチケット数が増加していると回答しており、これは前年の結果と一致しています。その理由として、大半(78%)のが増加傾向の原因をフレキシブルワークとリモートワークをあげています。チケットが増えた主要な要因として、ソフトウェアやネットワークの信頼性、セキュリティにまつわるインシデントが挙げられます。
このような現状が、IT担当者へ深刻な負担を与えています。IT担当者のおよそ4人に1人(23%)は、「同僚が燃え尽き症候群を理由に離職した」と回答しています。この数値は、昨年比では減少しているものの看過できない状態が続いています。
さらに、IT担当者もリモートワークを希望しているにもかかわらず、多くの場合に現在必要とされているツールを考慮するとリモートワークが不可能な状態となっています。リモートワーク時にもテクノロジーツールにスムーズにアクセスできると答えた人はわずか46%にとどまりました。また、同僚とのコラボレーションや、上司との連携、オフィス外でのITサポートにまつわる問題点も指摘されています。
AIや自動化はどのように支援できるでしょうか? 大多数は、AI と自動化がチケット数を減らし、より良いサービスを提供するのに役立つと言っています。しかし、Ivantiの調査によると、時間を節約するAIや自動化ソリューションの利用は十分な効果を有さないことが明らかにしています。
IT担当者の66%は、ChatGPTをはじめとした一般公開されている生成AI ツールを使用していると回答していますが、これらの公開されているツールには十分な監視が行われていません。およそ3社に1社の割合で、生成AIのリスク対処にまつわる戦略の文書化がされていません。IT担当者が企業の機密情報ならびにシステムを取り扱っていることを鑑みると、看過することのできない実態です。ChatGPTのような個別ツールは比較的高い水準で使用されているものの、ITやセキュリティに特化したエンタープライズツール (予防保全ITや、AIアシストによるチケットソリューション) の使用はまだ低くなっています。
なぜ導入が進まないのでしょうか? その要因はデータにあります。AIは、不完全または不正確なデータから有益なインサイトを生成できません。したがって、大半のコンテンツが最新状態ではないナレッジにおいてAIのトレーニングを行っても意味がありません。長年にわたってデータがサイロ化されてきたこともあり、AIや自動化を大規模展開できない状態となっています。
企業は、増大するサイバーセキュリティの脅威から企業を可能な限り守りながら、従業員がいつでもどこでも働けるようにするという、難しいバランス調整を求められています。
従業員が通常のオフィスとは異なる場所や時間帯で働く場合、私用のデバイスを仕事に使用したり、公共の充電ドックにアクセスしたりするなど、リスクが増す行動をとる可能性が高くなります。
IT運用とサイバーセキュリティの双方におけるニーズと優先順位のバランスを取ることは、場所に関係なく働く従業員の成功を促進するために重要です。しかし、バランスの均衡を保つことは緊張状態をもたらします。
複雑なデータのサイロ化によって企業の主要なIT運用やセキュリティプロセスに遅延が生じ、革新的なテクノロジーの導入やフル活用が不可能な状態となっています。半数以上(52%)は 、企業のセキュリティとITデータがサイロ化されていると回答しています。このうち、84%はサイロ化がセキュリティに悪影響を与えているとし、82%がサイロ化によって生産性を低下させていると回答しています。
ネックとなるサイロ化を打破するには、CIOとCISO間の緊密な連携が必要です。両者が密に協力し合うことで、テクノロジー投資における調整やインフラストラクチャの共有からIT運用とセキュリティにまつわる信頼性にすぐれた単一ソースの実装まで、ベストプラクティスを用いて大幅な改善が可能になります。
勤務中に、別のシステムに保存されている顧客データへアクセスする必要があります。それらの情報を入手するには、アクセス権を持つ誰かとコンタクトを取る必要があり、時間効率が悪くなります。
— データのサイロ化で問題を指摘するIT担当者
すでに進行中のワークプレイス改革を促進させるにあたって、企業はテクノロジー、組織文化の各側面に多大な問題を抱えています。CIOとCISOが、企業の安全性を保ちながら優先順位を調整し、ワークプレイスイノベーションを推進できるのでしょうか?
2. Everywhere Work戦略においては、フレキシビリティが考慮されなければなりません。
人事部をはじめとし、経営幹部との協力体制のもとで従業員調査を実施し、さまざまな働き方(リモート、ハイブリッド、フレキシブルなど) に対するナレッジワーカーの行動や優先順位を把握します。 交渉の余地を持たない問題とは?このような問題がそれぞれの人材グループにもたらす影響とは? 次の点に細心の注意を払ってください。
情報レイヤーを強化するには、現在サイロ化されてアクセスできないデータにリアルタイムでアクセスできるようにする必要があります。そのため、サイロ化の排除がカギとなります。
3. IT資産を包括的に可視化
インフラストラクチャやデバイス、ソリューションのエコシステム全体、すなわち企業のIT資産を今すぐ可視化しなければなりません。 複雑な資産を管理して最適化するためには、資産のインベントリ (ハードウェア、ソフトウェア、デバイス、ライセンスなど)から情報レイヤー (メンテナンススケジュール、デバイスのアップグレードスケジュール、パッチスケジュール、データのアクセス許可など)までを含めた膨大かつ進化し続けるデータセットが必要です。
インベントリや情報レイヤーを使用することで、リアルタイムで大規模な意思決定を行うことができます。その影響力は大きいです。
ヘルプデスクにおけるスループットの向上:
セキュリティ対策の強化:
情報レイヤーを強化するには、現在サイロ化されてアクセスできないデータにリアルタイムでアクセスできるようにする必要があります。そのため、サイロ化の排除がカギとなります。
本調査について
Ivantiでは、2024年1月に7,700人以上の経営幹部、ITとサイバーセキュリティの担当者、従業員を対象に調査を実施しました。本調査では、場所や時間を問うことなく従業員が勤務できるようする際に、企業が直面する深刻な課題ならびに機会を明らかにしています。
本調査はRavn Research社が実施し、パネリストはMSI Advanced Customer Insightsが募集しました。調査結果は単純平均値です。国別の詳細については、お問い合わせください。
グラフを含む主要な調査結果やアンケート結果を、プレゼンテーション用のフォーマットで入手できます。