本アンケート調査の結果から、作業環境をWindows 10に移行するにあたり、IT専門職のスタッフが直面する頭痛の種と優先事項が明らかになった。

はじめに

MicrosoftがWindows 10を発表した2015年7月以来、IT専門職のスタッフは自分たちが管理しているユーザーをWindows 7から10へと移行させようとしてきた。そして遂にその時が訪れたのである。

統合化されたITとセキュリティ業務の分野を牽引する企業であるIvantiが実施した最新のアンケート調査によれば、Window 7の標準サポートの終了(2020年1月14日)が目前に迫っているこの時期に、なんと59%ものIT専門職のスタッフが、Windows 10に移行済みのユーザーは全ユーザーのわずか一部に過ぎないと回答しているという。

500人を超えるIT専門職のスタッフを対象にアンケート調査を実施した結果、Windows 10への移行が必要なIT部門は、移行がユーザー、アプリケーション、環境全体にもたらす影響を理解することに苦戦していることが明らかとなった。本レポートでは、同アンケート調査で明らかとなった重要な事実について詳細を提供する。

最後のカウントダウン

IT専門職のスタッフの59%が、いまだに自分が管理しているユーザー全員をWindows 10に移行しておらず、「一部のみ移行済み」と回答している。また、Windows 10にユーザー全員をすでに移行済みと回答したのは回答者の39%だった。

現在もまだ移行中だと回答した回答者の38%がユーザー全員をWindows 10に移行させる作業は「ほぼ終了している」と回答しており、23%がWindows 7のサポート終了までに移行を予定していると回答した。したがって、残り39%は目前に迫っている来年1月のサポート終了日までにユーザー全員を移行できないことになる。この残り39%の企業は、Microsoftに高額の小切手を切る覚悟を決め、早々に移行に取り組んだ方が良いだろう。

移行が遅れている理由とは?

Windows 10は2015年7月から世に出回っているにも関わらず、Windows 10への移行に関して企業が出遅れているという事実は一部の人々にとっては驚きでしかない。今回IT専門職のスタッフには、Windows 10に移行することに最も影響していることを影響度の高い順にリストアップしてもらうようお願いした。その結果がこちらである。

  1. 時間/移行にかかるコストの確保(57%)
  2. より優先度が高いIT関連の他の業務(47%)
  3. Windows 10対応アプリケーションの準備/サポート(40%)

当然のことながら、リソースが一番の障害となっており、次いで僅差でIT関連の他の優先事項があげられているが、これもいわば予想通りである。一方、対応アプリケーションの準備が3位となっている点は興味深い。Microsoftはこれまで、新たなWindows-as-a-Service(サービスとしてのWindows)モデルで必要となる変更に向け、企業のアプリケーションと環境を整備する必要があると注意喚起してきた。

Windows 10導入のタイミングは、様々な優先事項によって後押しされている。以下にその一例をあげる。

  • Windows 7サポート終了(44%)
  • セキュリティリスクの軽減(脆弱性管理)(23%)
  • 業務上のリスクの軽減(11%)
  • ユーザーの生産性の向上(10%)

IT専門職のスタッフは、クリティカルなビジネスアプリケーションに対して更新プログラムを実行する際やパッチを適用する際、様々なことを考慮する必要がある。今回のアンケート調査の回答者は、更新プログラムの実行を最も頻繁に妨げていることとして次のような項目をあげている。

  • 58%が更新プログラムやパッチによってアプリケーションを破壊したくないと回答
  • 48%が更新プログラムやパッチによってユーザーの生産性に影響を及ぼしたくないと回答
  • 29%が更新プログラムの実行やパッチの適用には時間や労力がかかりすぎると回答

更新と実行のタイミングに関して考慮すべきことに加え、IT専門職のスタッフは更新プログラムの実行に伴うセキュリティ面のリスクについても考慮する必要がある。

当社のアンケート調査では、セキュリティに関して最も懸念していることとして、データ漏洩のリスク(42%)と回答したIT専門職のスタッフが最も多く、次いでランサム攻撃や他のマルウェアの脅威(21%)と回答したスタッフが多かったことが明らかとなった。また、IT専門職のスタッフが最も懸念していないのが、コンプライアンスのリスク(4%)とインサイダーの脅威(2%)だということも明らかとなった。

詳細を検討することが鍵

IT専門職のスタッフの70%が物理デスクトップとノートパソコンでWindows 10を使用していると回答し、うち4分の1が仮想デスクトップと物理デスクトップのハイブリッド混合環境を使用していると回答している。

また、回答者の半数がWindows 10の管理コストはWindows 7のサポートにかかるコストと変わらないだろうと示唆している。一方20%が、Windows 7のサポートよりもコストがかからなくなると期待していると回答した。

好奇心から、コストがさらにかかると考えていると回答した方にその理由を聞いてみた。得られた回答の中で特に社内で好評だった回答のいくつかを紹介する。

  • 年2回の更新は、チームにかかる負担の増加につながる(すべてのデバイスが安全かつ互換性があるかどうかを確認する負担)
  • 更新は大混乱につながる
  • 新機能によって新たなハードウェアやインフラストラクチャが必要となる可能性がある
  • ヘルプデスクのユーザーからのトラブル解決の依頼が増える(ヘルプデスクのスタッフの時間は無料ではない)
  • そう聞いたから(噂)

結論

総括すると、本アンケート調査では、IT専門職のスタッフがまだまだ多くのユーザーをWindows 10に移行する必要に迫られていることが明らかとなった。また、IT専門職のスタッフが移行にあたって直面するリソースや時間、そしてセキュリティに関連する懸念事項も明らかになった。

アンケート調査に関する概要

18歳以上のIT専門職のスタッフ500人以上を対象に実施。2019年秋にIvantiが実施。