組織を運営するために、資産管理はとても重要なポイントです。実務で使用する機器も立派な資産ですので、適切に管理しなければなりません。

近年ではオフィス内にIT関連機器が増えたことでその管理の重要性も高まっており、これまでの機器管理との違いに頭を悩ませているという方も多いでしょう。

そのような機器を管理する上で欠かせないのが管理台帳です。そこで今回は、管理台帳の作成から運用のポイントをご紹介します。組織における資産管理でお悩みの方は参考にしてみてください。

機器管理台帳は1つでは不十分?

IT資産管理とは、組織が保有するPCやサーバーなどのハードウェア、各種ソフトウェアのライセンスなどを正確に把握し、管理・運用していくことです。ですが、いざ作業をはじめるとなるとさまざまな問題に直面し、効率的に進めることができないというケースも多いようです。

管理台帳はそのような組織の資産を管理する上で欠かせないものですが、1種類とは限りません。

規模が小さな組織で、対象となるIT資産が少ない場合は、総合的な資産管理台帳のみにまとめてしまうケースもあります。

ただし、ある程度の規模の組織になると対象となるものも多くなるため、台帳も分類によって分ける必要があります。そこで、まずはその各分類についてご紹介します。

IT資産管理台帳は4種類

多くの組織において、より重要性の高いIT資産管理についてチェックしましょう。企業や組織によっても異なりますが、IT資産管理台帳は一般的に4種類に分類できます。

その4つとは、PCやサーバー、各種周辺ハードが該当する「ハードウェア台帳」、各端末で使用しているソフトについて記録する「利用ソフトウェア台帳」、そして利用ソフトのライセンスを管理する「ライセンス台帳」、ライセンス証明書類や、各ソフトのパッケージなどが該当する「ライセンス関連部材台帳」です。

この4種類の台帳は相互に関係性があるため、一般的には同じフォーマットで作成されます。また、近年ではこの4種の台帳をまとめて作成できるツールなども登場しています。

中でもライセンスについてはその形態が多様化しており、管理作業には特に多くの工数が必要となります。また、管理の不備によって無意識にライセンス違反を犯してしまうというケースも少なくありません。そうなれば、追加ライセンスの購入が求められるのみでなく、多額の違約金や賠償金を求められる可能性もあります。事実、ライセンス管理の不備によるライセンス違反によって億単位の支払いが認められたというケースもあります。また、ライセンス違反はコンプライアンスの面においても重大な問題です。組織としての信用が失墜してしまう原因にもなりかねません。

組織内のライセンスについて十分に把握できていないことによって、これほどに大きな問題が引き起こされる可能性があるのです。この点は必ず頭に入れた上で、管理の精度を高めていきましょう。

機器管理の流れ

資産管理の重要性については理解していても、具体的に何をすればいいのかわからず悩んでいるという方も多いのではないでしょうか。

資産管理にはいくつかのステップがあります。その手順を確実に踏んでいくことで、適切な管理をすることができるでしょう。そのステップを段階に分けて解説していきます。

社内資産の現状を正確に把握

まずは資産の現状把握を行います。最初のステップですが、実はここがもっとも重要なポイントとなります。どんなに優れた管理体制を構築することができたとしても、資産の現状を正確に把握できていなければ意味がありません。

現状の把握において、何よりも大切なのは情報の収集です。導入時の記録が残されているのが一般的ですが、入れ替え導入などによって、記録上で曖昧になっているというケースも少なくありません。

そのため、各部署、管理者に確認・報告を指示します。その際にすべての機器をまとめて調査するのは難しいことから、いくつかのステップに分けておきましょう。

順番としては、目に見えるPCなどの端末、サーバー、周辺機器などのハードウェアから調査を進めていきます。続いて、ハードウェア上で使用されているソフトウェア、最後にもっとも管理が難しいライセンスの調査、という形が一般的です。

前述の通り、IT資産の場合、ハード、ソフト、ライセンスを連携して管理する必要がありますので、適切に分類して現状を把握していきましょう。

管理台帳の作成

現状を正確に把握できたら、管理台帳の作成に入ります。形式についてはさまざまな形がありますが、エクセルなどの表計算ソフトや、資産管理専門のソフトやツールを使用する企業も多いようです。組織の規模が小さく、管理しなければならない機器が少ない場合、エクセルなどの表計算ソフトが使用されるケースが多い傾向にあります。追加投資の必要もなく、一度テンプレートを作成すれば更新もそれほど難しくないというメリットがあります。

反対に、組織規模が大きく、対象となるものが多い場合、専門ソフトの方がメリットは大きくなります。何よりも作業がしやすく、さまざまな機能が搭載されているため、台帳作成後の運用や更新作業の効率も向上するでしょう。導入時にはコストがかかりますが、対象が多い場合にはメリットは大きいと言えます。

現時点ではそれほど数は多くないとしても将来的に規模が大きくなる可能性が高いのであれば、早い段階での導入を検討してみましょう。

オフィス機器・IT資産管理の運用

台帳の作成後は、維持・運用していくことがもっとも大切なポイントとなります。

資産管理の運用を軌道に乗せる上で、最初に行うべきなのは運用ルールの作成です。しっかりとしたルールが作成されていれば、より効率的な運用が期待できます。

もちろん、運用の方法や管理対象の数、そして組織の規模によっても異なりますが、一般的にはまず担当者を選定することから運用はスタートします。情報システム内で管理が行われている場合は、システム担当者との統括が現実的でしょう。また、組織の規模が多い場合は専門の部門が組織されることもあります。

続いて、精度を高め、効率化するための運用ルールを作成します。たとえば、新たに対象となるものを導入する場合や、入れ替え導入を行う際の承認フローなどを明確にしておくと運用の効率化が可能な上に、抜けや漏れなどによる問題の発生を防止できます。

あわせて、定期的に資産の「棚卸し」を行うことなどもルール化しておくようにしましょう。これは、台帳の精度を高める上でとても重要です。「棚卸し」では実際の管理の対象と、台帳の整合性の確認を行います。一般的にその頻度は年2回程度ですが、時期を明確にしておくと年間スケジュールも組みやすくなるでしょう。

まとめ

実務に使用しているさまざまな機器も、企業の大切なの資産です。そのため、しっかりとした資産管理の重要性は高くなります。

今回は管理のために欠かせない台帳作成のポイントや、実際の運用の方法についてご紹介しました。資産管理には多くの工数、時間が必要となりますが、ステップを確実に踏んでいくことによって精度を高め、あらゆるトラブルを未然に防ぐことができます。専門ツールなどもうまく活用して、適切な管理体制を構築していきましょう。