ソフトウェアライセンスの管理台帳を作ろう!手順と作成のポイント
ITとビジネスの関係は、今や切っても切れない関係です。そのため、オフィス内に多くのIT関連機器があふれているという状況は当たり前とも言えます。さらにビジネスの基幹に近い部分にも関係していますので、しっかりとした管理は欠かせません。
そんなIT資産管理の中でも、多くの組織でネックとなっているのがソフトウェアライセンス管理です。そこで、今回はどのような手順で進めるべきなのか、そして台帳の作り方についてもご紹介します。
スムーズなソフトウェアライセンス管理の手順は?
ただでさえIT資産管理は難しいというイメージが持たれがちです。さらに、ソフトの管理となると、ハードのように物理的に目には見えないことからより難しく感じられるでしょう。ですが、ソフトのライセンスはIT資産管理においてもっとも重要性が高いポイントのひとつです。ハードの管理ができていたとしても、ソフト面の管理ができていなければ意味がないと言っても過言ではありません。
そこで、スムーズなソフトウェアライセンス管理の手順についてご紹介します。
保有しているライセンスの調査・把握の手順
まずは、組織内で保有しているものを把握しなければ管理はできません。そのため、手順としてはまずは情報収集からとなります。
現代のオフィスでは、複数のソフトが使用されているのが当たり前となっています。そこで、調査対象とするソフトの特定をしましょう。最終的にはすべてを調査しなければならないのですが、混同しないためにも1種類ずつ確認していくよう注意する必要があります。
続いて、保有する対象の調査・報告方法を決めます。規模の大きな組織になると、すべての端末の状況を直接確認するのは困難です。この場合、担当部署や各端末の管理者に確認を指示し、報告を受けるという形が現実的です。状況は正確に確認する必要がありますので、報告の方法についてもしっかりと検討しておきましょう。
情報を集めたあとはその内容の精査、そして実際に利用しているソフトとの紐付けを行います。調査を進めていくと、利用しているソフトの数(インストールされている端末の数)とライセンスの数が一致しないケースもあります。そこで、差分を是正していくことになります。
不足しているのであれば追加で購入することになりますし、過剰であれば解約など、適切に処理します。これが調査・把握の基本的な流れです。
継続的なソフトウェアライセンス管理のために必要なこと
社内で保有する資産の把握は、最初のステップに過ぎません。
ここ最近、年額・月額料金を支払う使用するサブスクリプション方式も増えています。社内システムとの兼ね合いから、定期的なアップグレードやダウングレードをしなければならないケースもあるでしょう。そのため、継続的な管理を行っていくことが重要となるのです。
そこで必要となるのが管理台帳です。ただし、単にライセンスの数や内容などのみをまとめればいいというわけではありません。ソフトを実行するためのハード、そしてソフトそのものとも深く関わっていますので、相互の関係を考えながら整理していく必要があります。
以下で台帳の作り方について解説します。
ソフトウェアライセンス管理台帳の作り方のポイントとは?
ここでは、具体的に台帳の作り方のポイントをご紹介します。前述の通り、組織内でライセンスの保有数を確認するだけでは不十分です。
ライセンスに関連する2種類の資産を管理
ソフトを実行するためには、ハードが必要です。PCをはじめとしてサーバーやタブレット、PDAなどさまざまなものがあります。まずは、これらの情報をまとめるためのハードウェア台帳が必要です。この台帳では、機種別やベンダー、型番、シリアル、そして使用している部門や使用者、管理者などの情報を管理します。
導入されているソフトウェア台帳も欠かせません。ソフトウェア台帳は、実際にハードで実行中のソフトに関する情報を記録するためのものです。名称だけでなく、エディションやバージョン、製品・フリー・シェアといった種別も記録することで管理もしやすくなります。同時に、保有しているライセンスと紐付けた管理番号なども記録しておくといいでしょう。
これらは直接ライセンスを管理するものではありませんが、ライセンス管理に深く関係しています。そのため、ハードや導入ソフトについても現状を正確に把握し、台帳に記録することが大切です。
ライセンスを直接管理するための台帳
続いては、ライセンスを直接管理するための台帳をご紹介します。
外部から購入したソフトのライセンス情報が対象となる台帳が「ソフトウェアライセンス台帳」です。こちらには、名称、エディション、バージョンはもちろんのこと、ライセンスの種別や形態、使用許諾条件、証書番号なども記録します。
同時に、関連部材が対象の台帳も必要です。具体的には、導入用DVDなどのメディア、パッケージなどについて記載するものとなります。メインのライセンス管理台帳と比較すると重要度はやや低くなることから、見落とされてしまいがちなポイントですが、しっかりと管理しておきましょう。
台帳はどうやって作り、管理していくもの?
前述の通り、管理台帳は「ハードウェア台帳」「ソフトウェア台帳」「ソフトウェアライセンス台帳」「そのほか関連部材を対象とする台帳」の4つに分けられます。それぞれに相互関係があり、同時に運用・管理することが重要です。そのため、形式や規格は統一しておくことをおすすめします。
これらの管理台帳を効率的に作成し、簡単に継続管理することができるツールも登場しているため、導入の検討をしましょう。
特にハード面についても入れ替え導入の頻度が高まっており、ライセンスに関しても形態が多様化していて複雑です。これらをすべて手作業で処理するとなれば、工数も労力も多くなる可能性があります。そこで専門ツールを導入すれば、より効率的に、そして正確に管理をすることができます。
とはいえ、やはりライセンス管理はシステムのみですべて完結するものではありません。管理者はもちろんのこと、組織全体で正しい知識を共有できていなければ、思わぬ形でライセンス違反が引き起こされてしまう可能性があります。
そのため、ライセンスに関する教育の機会を確保するなどの対策も重要です。このような機会を持つことで単に知識を増やすだけでなく、意識を高める効果も期待できます。
ハードのように目に見えるものではないこともあって、意識の薄さが管理の甘さにつながってしまうケースも少なくありません。だからこそ、意識を高める機会を持つことはとても有効なのです。
専門システムは確かにとても便利で、効率化という意味ではとても有効です。その一方で、専門の管理システムやツールも万能ではないことを頭に入れ、最終的に使用する従業員の知識・意識の向上を図りましょう。
まとめ
ソフトウェアライセンス管理は、今日の組織運営においては欠かすことができない重要な要素となっています。
とはいえ、具体的にどうすればいいのかわからないという方も多いでしょう。IT資産管理の基本である台帳の作り方ひとつとっても、適切な方法がわからなければ、管理体制の構築はできません。
そこで、今回ご紹介したポイントを押さえて、適切な資産管理を行いましょう。本記事内でご紹介したように、より効率的に管理することができる専門ソフトなども登場していますので、その導入も含めて検討してみてください。